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女たち三百人の裏切りの書

女たち三百人の裏切りの書

女たち三百人の裏切りの書

作家
古川日出男
出版社
新潮社
発売日
2015-04-28
ISBN
9784103060765
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女たち三百人の裏切りの書 / 感想・レビュー

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marco

源氏物語54帖のうち最後の10帖である「宇治十帖」は、光源氏没後の出来事を描く続編的な位置づけの物語で、紫式部の作ではないとする説がある。本書『女たち三百人の裏切りの書』では、死後100年たった平安時代に紫式部が怨霊となって甦り、世間に流布している「宇治十帖」を偽物と断じ、自ら語り直す。これだけでも大胆な試みだが、このコアストーリーに、さらに古川日出男は、海賊、武士、そして、蝦夷の物語を織り込み、壮大な絵巻を作り上げる。自分にとってこの10年でもっとも難しく、もっとも挑発的で刺激的な読書だった。

2015/08/23

さっとる◎

物語はどれほどの力を持っているのか。時は紫式部没後百年余、平安末期の現代。院政が敷かれ海には海賊が跋扈し陸では刀が勢いを増し始める頃。千年ほど昔だった今。後世の人よあなたたち後世の人々よ。時を経て尚語りが始まるこの言葉は妖しい魅力を放つ。ほら、芥子の匂いがしてきた。語られる物語は知っているはずなのに知らない展開を見せる。あちら側のことだと油断してはいないか。物語の側から退場した人物は、ないものとはならないのだ。こちら側の神が刀が、物語だと思っていた側にも見えるだろう?夥しい数の裏切りが騙りが物語が現実だ。

2018/05/10

marco

読売文学賞獲っちゃいました! 我がことのようにうれしい!

2016/02/01

ぐうぐう

紫式部が亡くなって百有余年、憑坐の少女に宿った怨霊は、自身が紫式部であると名乗る。そして、光源氏亡きあとの物語『宇治十帖』は贋作だと告げ、本物の『源氏物語』を語り始めるという、驚愕の展開となる。古川日出男はこの発想が、2011年の震災がきっかけだったと言う。福島出身の古川が、千年に一度の地震を前に、千年という時間を想像しようとしたとき、千年前には紫式部がいたことに気付く。『源氏物語』を語り直す中で古川は、『源氏物語』が内包する力を改めて伝え、それはやがて、すべての物語そのものの力と重なっていく。(つづく)

2016/04/25

そうたそ

★★☆☆☆ 「源氏物語」は読んだことないけど大丈夫かなあ、と思いつつ読んだのだが、やはりある種の二次創作的作品である以上、原典を全く知らないというのは無謀な読み方に近かったようだ。大まかなストーリーもそんなに知らないし、ましてや人物関係も分かってない。本書は怨霊として甦った紫式部が本物の宇治十帖を語るという趣向の物語。因みに宇治十帖とは光源氏亡き後の物語であるらしい。しかしまあストーリーにはついていけなかったものの、流れるようなストーリー展開と文章は流石のものだと思う。いずれまたリベンジしたい。

2015/06/03

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