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淵の王

淵の王

淵の王

作家
舞城王太郎
出版社
新潮社
発売日
2015-05-29
ISBN
9784104580071
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淵の王 / 感想・レビュー

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starbro

図書館の新刊コーナーにひっそり佇んでいましたので、思わず手に取りました。舞城王太郎の作品は何冊か読んでいます。前半を読んだ時、著者は青春小説を書くようになったのかなぁと思い読み進めました。結果としては良い意味で相変わらずの訳解らない舞城王太郎ワールドでした。個人的には好きですが、一般受けはしない自信があります。ところで舞城王太郎は福井出身ですが、首都圏から実は一番行きづらい県は福井県だとご存知でしょうか?未だに空港も新幹線の駅も存在していない稀有な県です。※福井出身の皆様すみません。

2015/07/27

みっちゃん

少しでも油断すると、この真っ暗な穴に引きずり込まれそうで、気がついたら足を踏ん張って読んでいた。理不尽でおぞましい悪意。それに立ち向かう3人の主人公。でも彼らの「守りたいから守る。救いたいから助けにいく」真っ直ぐな気持ちが報われるわけではない。そして彼らを見守っているらしき、この語り手達の存在。もう実体はなく、ハラハラして見ている事しか出来ないようだが…最終話の「あんたと共に光の中を行く」であれ?と第1話に戻ったら…これ、ひょっとして!?と思い始めると、そうとしか思えなくなって、ぞくぞくと鳥肌がたった。

2015/07/07

おかむー

『阿修羅ガール』を読んで合わないと思った舞城王太郎。一作だけで決めてしまうのも勿体無いのでツイッターで評判だった新刊を読んでみた。結果としてはやっぱり合わないなと( ̄▽ ̄;。『もうすこしです』。なんにせよとにかく文体が合わない。好意的に評価しているものによれば「独特のスピード感とリズムを持った口語文体」だそうだが、俺の感覚では荒い言葉をごた混ぜにした胸焼けがする文章という印象。物語としては怪談寄りのホラーではあるが、三つの章の結末もそれぞれなんだか乱雑。計算のうえでの作風かもしれないが俺は受け付けないなぁ

2015/08/02

めしいらず

三人称でも二人称でも一人称でもない、でもそのどれにも当てはまるような、そして著者らしい言葉の瑞々しさ、勢いが、しっかり息づいている、新しくて馴染み深い語り口。世界中に渦巻いている悪意と、失われつつある無条件の愛。3つの中編どれもが、おぞましい悪意と絶対的な愛がせめぎ合う。社会が予め用意したような物事の感じ方から自由であること。例え周囲から奇異な目で見られ孤立しようとも、自分の内なる衝動に突き動かされ、今、ここを生き抜かんとする主人公たちが、それぞれの大事な人たちに届けようとした、愛。その熱量に圧倒された。

2015/06/22

さっとる◎

舞城さん…この人一体何者なんだろう。なんにも考えてないぜー低俗なものバラまくぜーってふりして無造作にとても大事なものを置いていく。台風みたいにすごい勢いで暴れまわって滅茶苦茶にしてくくせに、ものっすごいキレイなものがそこに残っていたりする。それがぐっさり刺さるから、そんなつもりはないのに泣きそうになる。いいこと言ってるだけじゃなくって、物語がちゃんと物語の力を持ってる。現在も過去も未来も全部一緒で、このつくりってのが尚いい。幸せって、好きって、怖いものって、何だろうね?舞城がハイテンションで答えてくれる。

2017/06/18

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