小説集 Twitter終了 (単行本)
小説集 Twitter終了 (単行本) / 感想・レビュー
よっち
23年夏、突如として「X」と名前を変えられ、姿を消したTwitter。140字でしか気持ちを伝えられない世界を愛し続けた作家たちが紡ぐTwitterなき世界の物語集。Twitterが終わる世界でオタクたちはどう生きるか、相互フォローの女性からのDMで始まる奇想天外な物語、他者への複雑な想いとTwitter。そしてTwitter終了により助手との連絡手段を失った探偵が、見つけ出した助手の意外な正体。斜線堂有紀さんの話目当てで読みましたがミステリ仕立てで面白かったですし、最後の追悼文もなかなか効いていました。
2023/12/30
きたさん
今や旧twitterとなったXで「ここ無くなったらどうする?」と、実際に会ったことがある人や名前も知らない人と今でも呟きあっている人ならば、どのジャンルにいてもたぶん心にくる作品がひとつかふたつあるのではないかと思う、そんな短編集。斜線堂有紀作品の凄さは言わずもがなとして、個人的には「近くて遠い二人の距離」がとても臨場感のあるエモさを感じられて好きでした。全体を通して間違いなく万人受けはしないけれど、これが響く人にはなんとかして届いてほしいと願う作品ばかりでした。
2023/12/25
沙智
Twitterという特異なSNSをテーマにした作品群を楽しめるアンソロジー。「もう一人のあなたを作る方法」の感傷的な空気が好きだった。特に良かったのは「Twitterが終了したので、ここでしか繋がっていない助手との関係性が切れた。」Twitterあるある的なネタを散りばめつつも、連絡のつかなくなった探偵助手を探すというプロットには確かな牽引力がある。作者はTwitterのことが本当に嫌いで、でもその一方で心の底からTwitterのことが好きなんだなという複雑な感情を感じた。
2024/02/14
meg
みんな大好きTwitter。ネットで友だちとか作れない民にはよくわからない感覚だけど、Twitterしか居場所がない人にとっては一大事だったんだろうなあ…。と、最早遠い昔の出来事のように感じる。怖い。ヲタク同士つるんで同人誌を作り、妖怪みたいなアカウントのおかげでリア友との縁を保ち、実名性と匿名性のバランスに縋り、亡くなった同級生を騙り悼み、果てはTwitterでしか繋がっていなかった助手との関係が切れる。書き下ろされた追悼文の、斜線堂有紀の最後の一文がなんとも切実なおかしみを持ってこちらに向かってきた。
2023/12/13
椎名
一度同人誌として発行されていたときに購入し、読了していたが、書籍化ということで改めて読み直すいい機会となった。修正されたこともあってか全体的にやはり同人版よりクオリティアップしており、どれも非常に面白かった。Twitter終了というタイトル通り、突如としてXという名前に変わり、私たちが愛したTwitterがなくなったことで生まれた一作だ。あの場でしか得られないなにかがあったのだというこのをそれぞれ様々な語り口で描いており、最後に追憶文が追加されたことでより感傷的な一冊に。良かった。
2024/01/25
感想・レビューをもっと見る