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ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)

ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)

ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)

作家
レイモンド・チャンドラー
村上春樹
出版社
早川書房
発売日
2009-03-06
ISBN
9784152090102
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ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) / 感想・レビュー

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かるかん

『人生は所詮大仕掛けな見世物に過ぎないのだ。』 やはりマーロウのハードボイルドさの右に出るものはいない。今回読んでいて、ロジャーの弱さに共感するという新しい面を感じ取れた。とは言えマーロウの「タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない。」という言葉のほうが個人的には共感でき、しっくり来る。

2016/02/19

かるかん

『さよならを言うのは、少し死ぬことだ。』 村上春樹の翻訳者としての本気を感じた。やはりプロだ。Los Angelesをロサンゼルスではなくて、ロス・アンジェルスと訳しているところが最高にクール。

2014/06/12

長谷川透

本書を読むのは3度目になるが、本作品の下敷きになっている『グレート・ギャツビー』を読んだ直後に読む、という経験は今回が初めてである。不穏な過去を背負い、過去に愛した女性を想い、そして名を変えて彼女たちの前に現れる、ギャツビーとレノックスの共通点だ。そして、愛する女性との再会が悲劇へと繋がる点も同じである。何度読んでも、この小説が完璧な小説であるとの評価は変わらないし、読む度に「この小説を読む新たな楽しみ方」を示してくれる希有な小説だ。ラストシーンは『羊を巡る冒険』での「僕」と「鼠」との再会そのものだ。

2012/07/10

detu

村上春樹御推奨のタフガイ、フィリップマーロウ。その頁数も些かタフだった。沈着冷静、自分の美学を崩さぬマーロウの語りは粋でもあり辛辣でもある。人物関係が凝っていて少しばかり混乱するもとりあえず理解できたか。ミステリーではあるがまだまだ第二次大戦の影響が残る50年代のアメリカの抱える問題が絡まっているような。チョイ役で登場させたと思いきや後からしっかり役立つ新聞記者とかネタ振りが上手い面白い。個人的にはどこかで探偵沢崎が出てくるのでないかなどと錯覚してしまっていた。巻末春樹氏の解説も興味を引く。

2020/08/14

スミス市松

このフィリップ・マーロウという人物の造形には大変興味深いものがある。彼は残酷で無慈悲な都市を生き抜くために、自分の姿がすっぽり隠れてしまうシステムをこしらえる。それは身を守るための盾というよりかは、それ自体がひとつの存在感を放つ巨岩である。多少のことではビクともしない、頑丈でタフなシステム。そのシステムからの視点を通して、彼はこの世界をざくざく切り取って生きていく。しかしながら全編読み通しても、私たちはマーロウがほんとうは何を考えているのかわからない。どぶ貝の中にある真珠は、誰に捧げられることもないのだ。

2011/02/05

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