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愛が挟み撃ち

愛が挟み撃ち

愛が挟み撃ち

作家
前田司郎
出版社
文藝春秋
発売日
2018-01-30
ISBN
9784163908045
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「愛が挟み撃ち」のおすすめレビュー

三角関係の奇妙な妊活。芥川賞候補作『愛が挟み撃ち』

『愛が挟み撃ち』(前田司郎/文藝春秋)

 不妊の悩みを抱える夫婦はかなり多い。近年では“妊活”という言葉もよく耳にし、また不妊や妊活は多くの物語の題材にもなっている。しかし、芥川賞候補作にもなった『愛が挟み撃ち』(前田司郎/文藝春秋)は、その内容が完全に一線を画している。

 劇作家・小説家の前田司郎氏が手掛けた本書は、まさに奇妙な演劇のよう。それに加えて小説としてのタッチも美しい。実に複雑怪奇な恋愛感情のベクトルが織りなす、異質だが確かにうなずける感情の交錯が本作では絶妙に描かれている。

 本書の主人公は無精子症と診断された39歳の俊介と、36歳の妻京子。子を諦めることに対して意外と抵抗のない京子とは対照に、俊介は焦り、失望し、どうしても子を諦めきれない。精子バンクなどを検討したが、どの策もしっくりこず。そんな中、俊介が導き出した奇想天外な答えは次のとおりだ。

「自分の大学時代の親友であり、京子の元彼でもある水口に、子をつくってもらう」

 一見すると突拍子もないものに思えるが、見ず知らずの人の遺伝子よりは良いだろうと納得した京子。そして2人は水口に依頼し…

2018/4/8

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愛が挟み撃ち / 感想・レビュー

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starbro

第158回芥川賞受賞作・候補作、5作目(5/5)、コンプリート!前田司郎、初読です。変則三角関係不妊恋愛小説、5作品の中で一番面白く読みました。純文学色が薄く、作家が中年男性の劇作家だったから、受賞を逃したのでしょうか?今後の作品も期待しています。

2018/03/14

散文の詞

前半の爽やかな青春ストーリーからの後半の展開は、ちょっとびっくりでした。 多少、人間関係のわかりにくいところも有りますが、登場人物のコントラストも際立ってて、面白いです。 ただ、やっぱり最後の展開には、びっくりというか、なんか納得できない感じです。 タイトルも、なんかピンとこないと言うか、まあこんな人生観も有りかな。

2021/05/07

ケンイチミズバ

もう、なんなんだこの物語は、もう。最初のもうは笑い、後のもうは呆れ。そんな考え方があるのですか?他人から精〇の提供を受けるにしても全く知らない人は嫌だ。だから、かつての〇友、妻を取り合った〇敵からって。夫の提案をまんざらでもなく考えてる奥さん、あんたはそれでいいのか?と心の叫びを上げた。スタバで。が、真の愛の告白はこの先にあった。えええーっ!そんな、なんて物語だ。後半からさかのぼって前のページを二度読みし納得する作品です。いや納得はしない。愛ちゃんを主人公に著者は絶対に次回作を書くべきだと思う。是非。

2018/10/09

あも

下世話だけども純粋で、滑稽なのに心を打たれる。結婚6年目。そろそろ子供を作ろうか、と思った夫・俊介は無精子症。悩んだ挙句出した答えは学生時代の親友・水口と妻・京子がセックスをして子供を作ること。誰かも分からぬ他人の子ではなくそれならば愛せると。暴走して迷走して行き詰まった袋小路の先の壁をぶち抜く。そんな突き抜けた爽快感を感じた。時折挟まれる愛ってなんだ?なんて思索に意味はあるかい?愛にできることはまだあるかい?三者三様の思いが絡み合い物語は歪で無垢なクライマックスを迎える。愛に決まった形なんてきっとない。

2019/05/29

なゆ

初読みの前田さん。ズバリ、好きだわ。結婚6年目の俊介と京子、不妊検査で俊介に原因があることが判る。どうしても子どもが欲しい俊介のとんでもない提案とは。あり得ない!ってプンプンしながら読んで、京子との出会いとそれからもモヤモヤしながら読んで。。。なのに水口みたいなイヤなヤツをどうして?!という怒りが、なぜかじわじわ萎んでいくのはナゼ。深刻なはずなのに淡々と、フザケてるようて大真面目、なのに最後のウソみたいなアレはハァ?と思いながらも、なんだこの切なさは。「残酷だな」のセリフが滲む。愛は存在するし、生まれる。

2018/08/07

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