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雨滴は続く

雨滴は続く

雨滴は続く

作家
西村賢太
出版社
文藝春秋
発売日
2022-05-25
ISBN
9784163915432
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雨滴は続く / 感想・レビュー

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シャコタンブルー

そうか、もう貫多はいないのか・・読後は深い余韻に包まれた。寒々しい蒼と涙雨に濡れている様な暮石の表装、そして素敵なタイトルが未完の遺作にふさわしくとても感慨深い。傍若無人で破滅的に思える生き方は不器用だけど藤澤清造への敬愛は本物だ。恐らく誰も敵わないし、誰にも理解されないかも知れない。そこまで一途になる姿は清々しい。逆に女性二人に対する非礼な態度には呆れたが、その妄想と願望は笑えた。新川との決裂も危惧したが優しさに救われ一安心した。芥川賞受賞を予感させるラストも雨滴が続く様で最高だった。さらば、北町貫多!

2022/06/22

おかむら

西村賢太の遺作。貫多シリーズ最長の500pの大長編。秋恵と別れ3年後小説家デビューの頃の半年間。私小説への拘りと覚悟の凄まじさの一方で女の方はなんと二股かけてます! といっても完全に独りよがりの脳内妄想が最高にオカシイ!勝手に懸想して勝手に落ち込んでの罵詈雑言がひどすぎる! 本読んでて声出して笑っちゃったの久しぶりだわ! 「根が〇〇」祭りもくどくて楽しい。未完だけどそんな中途半端なとこで終わってないと思うよー。それにしてももう読めないのがほんとに残念で残念で、亡くなった時より今作読んだ今の方が喪失感…。

2022/06/20

つちのこ

遺作となった長編を慈しむように読んだ。デビュー以来ずっと読み続けてきたファンとして、〈未完〉の二文字が哀しい。作品をもう読むことができない寂しさは、私にとって、池波正太郎の『鬼平犯科帳24誘拐』の〈著者死去により絶筆〉以来。自身を投影した北町貫多の性格破綻ぶりは、齢40にしても炸裂。師と仰ぐ藤澤清造への一途な思いとのギャップは首尾一貫しブレていない。これまでの既作の中に藤澤清造を織り込んできた意味が本作で痛いほど伝わったと思う。芥川賞が見えてきた物語の続きが読みたかったが、それも叶わぬ。罪な作家である。

2023/05/04

aloha0307

最終頁(未完)の文字が悲しい。西村賢太さん〜もういないのか(合掌) もう読めなくなるのが堪らなく悔しい📕 あきたりない(漢字変換できず) という用語が何度も効果的に使われていました🖌️ 憐憫 不満 愛着etc.何重にも解釈される意味深い言葉だね🌸

2022/09/01

まろまろ

つくづく身勝手な貫多にはさすがにムカついた。川本那織子を振り回し、葛山久子に都合のいい妄想をいだき、落日堂の店主・新川をこけおとす。ただ、自分の恥をさらけ出すところは好印象かと。そんな貫多だが、尊敬する私小説家・藤澤清造の月命日には墓参に訪れる。それくらい尊敬できる人物がいることはどれだけ心の支えになることか。ちなみに「根が◯◯」という一文が死ぬほど描かれている。著者のポーカーフェイスを思い出しながらつい笑ってしまう。

2022/10/22

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