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文豪、社長になる

文豪、社長になる

文豪、社長になる

作家
門井慶喜
出版社
文藝春秋
発売日
2023-03-10
ISBN
9784163916675
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「文豪、社長になる」のおすすめレビュー

総合月刊誌『文藝春秋』創刊100周年記念! 文藝春秋の創業者にして芥川賞、直木賞を創設した菊池寛の生涯をたどる

『文豪、社長になる』(門井慶喜/文藝春秋)

 1923(大正12)年1月に創刊され、小説や評論、手記、インタビュー、ルポルタージュ、社会批評、そして世紀のスクープから軽妙なエッセイまで硬軟取り混ぜた総合月刊誌『文藝春秋』が昨年100周年を迎えた。この雑誌を立ち上げた人物が、文藝春秋創業者で作家の菊池寛だ。その菊池の人生を史実に基づいたフィクションとして描き出したのが、2003年に『キッドナッパーズ』(文藝春秋)で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞して作家となり、2018年に宮沢賢治の父の視点で描かれた『銀河鉄道の父』(講談社)で第158回直木三十五賞を受賞した小説家・門井慶喜の『文豪、社長になる』(文藝春秋)だ。

 菊池寛(筆名は「かん」だが、本名は「ひろし」と読む)は1888(明治21)年、現在の香川県高松市に7人兄弟の四男として生まれた。本書はその高松に大きな図書館ができた1905(明治38)年、菊池が17歳のときから始まる。菊池はこの図書館の蔵書約2万冊をほとんど読んでしまったという天才で、京都帝国大学を卒業した後に作家となり、社長として…

2023/3/24

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文豪、社長になる / 感想・レビュー

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starbro

門井 慶喜は、新作中心に読んでいる作家です。文藝春秋創立100周年記念作品という事で読みました。菊池寛は知っていましたが、菊池寛自身の物語は初読です。芥川賞&直木賞を制定したのは既知でしたが、菊池寛が芥川龍之介や直木三十五よりも人気の流行作家だったとは思いませんでした。芥川龍之介の長男の芥川比呂志の名前は寛が由来だったとは。 また初期の文藝春秋は高尚な文芸誌ではなく、今の週刊文春に近いノリだった様です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916675

2023/04/04

パトラッシュ

菊池寛の肩書は小説家兼社長兼プロデューサーと称せるか。『真珠夫人』をはじめ世に広く知られる作品を書き、今日まで続く総合雑誌を創刊し、芥川賞直木賞の創設やペン部隊の派遣など、思いついたら即実行という生き方を貫いた。しかし面倒な実務は他人任せなため、社員に騙されたり軍の宣伝に協力させられる失敗もあった。書斎派の作家には考えられない波乱万丈ぶりだが、こんな友人や上司やアイデアマンが身近にいたらさぞ楽しいに違いない。多くの人が協力を惜しまなかった菊地の人間的魅力こそ本書の主題であり、作者が描きたかったものだろう。

2023/06/29

hiace9000

文藝春秋社を立ち上げた文豪かつ編集者、そして社長。菊池寛の波乱に富んだ生涯を克明に綴った作品。門井さんはこれまでも数々の著名人の伝記を描いてきたが、いずれも当人の放った熱や輝きを、躍動的筆致で存分に読み手に伝えてくれる。独特の門井流とも呼びたいくらいの文章リズムも、作品を読む際の楽しみのひとつにすら思えてしまう。菊池寛が自身の人生そのものとした「時を超えることを目指した」文芸。その象徴でもあった文藝春秋。変わらないために変わり続けた菊池寛という生き方を本書で知り、日本の文学界に果たした多大な功績に驚く。

2023/07/12

trazom

菊池寛と文藝春秋をモデルとした小説。芥川龍之介・直木三十五・石井桃子などの作家たちや、佐佐木茂索・池島信平など文藝春秋の経営に貢献のあった人たちが次々と登場し、文藝春秋創立百周年記念作品に相応しい読みやすい一冊である。ただ、作家論という意味で菊池作品が深く掘り下げられることもなく、一方、戦争協力者であった菊池氏に対する微温的な評価に強い違和感を覚えるなど、全体的に皮相的な印象は拭えない。尤も、そんな不満を吹き飛ばすほど、菊池寛という人物の人間的な魅力が卓越していて、そのことが爽快な読後感に繋がっている。

2023/04/10

のぶ

菊池寛の半生を綴った物語。菊池が文藝春秋を立ち上げたのは知っていたけれど、その経緯や内面が垣間見られて楽しかった。自分は菊池寛の作品は「恩讐の彼方に」を読んだ程度で、あまり人物像を知る事はなかったが、文壇の錚々たる人物との交流があったことを知り驚いた。また文藝春秋が今のような出版社として創立したのではなく「文藝春秋」という雑誌を売る雑誌社として始まったのも初めて知った。その後、芥川賞、直木賞を創設して今に至っている事を考えると、その功績は高いと思った。門井さんは史実を良く調べて書いている。面白かった。

2023/04/02

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