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魔女の原罪

魔女の原罪

魔女の原罪

作家
五十嵐律人
出版社
文藝春秋
発売日
2023-04-24
ISBN
9784163916880
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「魔女の原罪」のおすすめレビュー

校則のない高校で絶対視されるのは「法律」。ある事件をきっかけに暴かれる学校と街の謎とは? 注目の現役弁護士作家による新作リーガルミステリー!

『魔女の原罪』(五十嵐律人/文藝春秋)

 もしも校則がなかったら、それに代わるものが“法律”だとしたら。髪型、靴下や下着の色、帰宅時の行動制限……。ブラック校則に悩まされる中・高校生は快哉の声を上げるかもしれない。金髪、アロハシャツ、ピアス、大いに結構、上履きはサンダル履きでも、教室にタピオカティーを持ち込むのもOK。それらは“法律”では禁止されていないから。

“日本でもっとも自由に学生生活を送れる高校”と校長が自負する物語の舞台、鏡沢高校の生徒たちはそんな学校生活を謳歌している。だが法律は校内で厳格に適用される。どんな小さなことでも“法律”を犯した者に容赦はない。入学時、生徒に配られるのは生徒手帳と六法全書。口うるさい生活指導がいないかわりに、校内の至るところに設置された監視カメラで行動は記録されている。“普通の高校”とは異なる、そうしたルールはいったい何を生み出していくのか――。この設定からすでに魅惑的なリーガルミステリーが走り出している。

 デビュー作である『法廷遊戯』(講談社)は、第62回メフィスト賞受賞、「このミステリーがすごい! 2021年…

2023/4/24

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魔女の原罪 / 感想・レビュー

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starbro

五十嵐 律人、5作目です。本書は、著者の新境地でしょうか、地方因習魔女裁判血液浄化ミステリでした。欧羅巴中世の魔女裁判も怖いですが、日本の閉鎖社会の魔女裁判的なモノも怖いかも知れません。 https://books.bunshun.jp/articles/-/7937

2023/05/29

パトラッシュ

新旧住民が憎み合う町にある高校は、校則はないが法に触れると罰せられる。異様な空気に戸惑いながら普通に生きているつもりだった少年が、同級生の不審死をきっかけに隠されていた真実を知ってしまうドラマが強烈な迫力で展開する。周囲から白眼視され苦しむ犯罪加害者の家族が、身を守ろうと自分たちだけの集住地を作るのは理解できる。しかし加害者の血を引く者が犯罪に走らないかとの不安に怯え、血への恐怖に囚われた人が精神のバランスを崩しただけで爆発してしまった。海外へ逃げられず、狭い四つの島でしか生きられない日本人の悲劇なのか。

2023/05/19

いつでも母さん

加害者家族が集まっている街ーもうね、始めっから何か変。その変の意味を僕・和泉宏哉と共に体感する私。知らなかったのは『僕』だけだったなんて・・犯罪者の子は犯罪を犯すのか?血なのか?『親が犯罪者であっても僕が犯した罪ではない』『どんな大人になるのかは、これからの生き方次第で決まる』まさしく【魔女狩り】の怖ろしさがあった。加害者家族はある意味被害者でもあるよね。そして、監視社会に生きる傍観者という住人・・現代社会の闇だ。はぁ、五十嵐律人さんったら。

2023/05/15

美紀ちゃん

鏡沢町の秘密がすごい。 加害者家族が集められている町。そんな町を作るという発想が恐ろしい。 ブラッドフードもモサモサしていそうで、ちょっと、、、。でも意味があったところはびっくりした。 加害者家族の苦悩もわかるが、辛い。 「魔女の原罪」は、樫野征木の手記。 「母を正しく罰してください」 血の繋がった実母を被告として証人になるのは、勇気のある行動だと思う。 冷静で公正。 なんというか、重かった。 人工透析を受けていた理由もわかり、うなってしまった。 深い。

2023/07/09

tenori

非常に硬質なタッチと加害者家族の在り方という重いテーマが練り込まれていること。そこに端を発する事件の質と結末は完全に解決されるものではないため、読後の疲労感も相当。加害者家族が自分達を守るために作りだしたコミュニティが本来の目的とは異なる思想へ。犯罪者の血は子供に受け継がれるのか。危うい結束ゆえの集団心理。血の浄化を希求する非科学的な儀式。中盤で『魔女の原罪』なる冊子が明かされるまでの前振りが長いが、後半は怒涛。真に信ずることとは何かを問う、考えさせられる内容で、私個人としては傑作と思えた一冊。

2024/03/06

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