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無銭横町 (文春文庫 に 18-4)

無銭横町 (文春文庫 に 18-4)

無銭横町 (文春文庫 に 18-4)

作家
西村賢太
出版社
文藝春秋
発売日
2017-12-05
ISBN
9784167909772
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無銭横町 (文春文庫 に 18-4) / 感想・レビュー

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メタボン

☆☆☆★ 破壊力は落ちるものの、相変わらずそのさもしい文章が面白く、西村ワールドにはまってしまう。表題作で、インスタントラーメンをポリ袋に入れ、それに水を浸して食べるという究極の貧乏食がすさまじい。秋恵の余計な一言と仕草に修羅場の予感を抱かせる「邪煙の充ちゆく」も傑作。

2021/07/20

とし

相変わらずの主人公北町貫多の怠惰ながらも自分の好きなことに注ぐエネルギーには驚くばかりです。お金がないので歩いて神保町の古本屋街をまわる貫多。敬愛する作家に対する信仰に近いほどの情熱、貧乏でお金がないながらもかけている姿はストイックでまさに最後の弟子のような感じですね。作品の方は、短編で普段の日常生活が描かれています。西村賢太さんは、DVで執着心が強い主人公の貫多を面白く描いていますが、その土台となる文体や文章はさすが上手いなと思いました。焼酎、煙草、カップラーメンなど貫多の生活には欠かせない食糧ですね。

2018/01/07

澤水月

「桜」を題材に私小説に出来ぬかと考え震災後花見自粛求められた追想綴る「朧夜」。「3・ 11〟なぞと称し」「自らの問題として向き合うことを、恰も〝文学者〟たる己れに課せられた使命でもあるかのように…ムキになっている同業者…否定はしないが…オッチョコチョイもいるものだ…ノンフィクション作家ならイザ知らず、また当人に直接的な被害があったのならイザ知らず、そうでもない限りは、そんなのはたかが小説書き風情のなすべき仕事ではない」。震災直後の芥川受賞者の言葉として重い。若き貫多の貧困話ほか受賞後の人間関係なども見える

2023/02/06

ぽち

「菰を被りて夏を待つ」北町貫多。十九歳。田中英光蒐集。「邪煙の充ちゆく」貫多。秋恵もの。ヤニ臭さに気を遣う。どうぞどうぞ。「朧夜」貫多。秋恵出奔より十年後。文豪界短編締切前「酒と酒の合間に」北町貫多。漫才コンビ「A」のT.S氏自伝小説S文庫後書き。「貫多、激怒す――または「或る中年男の独言」」メタ構造「無銭横丁」北町貫多。二十歳。椎名町。母への無心失敗。田中英光肉筆書簡の内金。「一日」私。一人称。芥川賞受賞前(直前?)

2022/05/03

村山トカレフ

文庫化にあたり、『随筆集一日』より「一日」を編集して加えた7編を収録したもの。今昔の回想録が主。秋ちゃんは1編のみ登場するがいつもの狂王じみた言動と行動は也を潜めております。少年時代の回想には、貫多にも人並みに楽しい時代があったのかとホッとすると同時に、その数年後にやってくる暗黒期を思うふと、どうでも同期してしまい胸がキュッと痛む。解説はオールディックフォギーの伊藤雄和氏。氏曰く「自称弟子」との嵌り具合。解説は嫉妬するくらい愛に溢れていますw 本作の個人的ベスト台詞は「秋ちゃん!でぇ好き」。思わず破顔。

2018/05/02

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