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SINKER: 沈むもの (TOKUMA NOVELS)

SINKER: 沈むもの (TOKUMA NOVELS)

SINKER: 沈むもの (TOKUMA NOVELS)

作家
平山夢明
出版社
徳間書店
発売日
1996-06-01
ISBN
9784198503130
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ジャンル

SINKER: 沈むもの (TOKUMA NOVELS) / 感想・レビュー

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HANA

平山夢明長編処女作。独特の無国籍風の文体は、このころからその萌芽が見られるのね。内容は『羊たちの沈黙』とプロファイリング等発売当時流行していたものをごった煮にした印象。筆者も微妙に戸惑っているような感じを受けるので、多分これ版元の意向も大きい気がする。それでも後年の平山作品に通じる箇所は、何か所も見受けられる。それにこの手のサイコキラーは事件にしても本人にしてもインパクトが大事だと思われるので、そこは流石に『異常快楽殺人』の著者、目を覆いたくなるような犯行が続く。やっぱりこの頃から読者を殺しにきてるなあ。

2015/10/19

あも

幻の平山氏長編デビュー作。絶版本。ドログチャの中に潜むユーモアセンスやきらりと光る微かな優しさが平山氏の魅力だと思っているが、これは余りにも陰鬱さがそれらを凌駕している。筆者の心の中に長年溜まった怒りや絶望といった膿を放出したかのような1冊。幼児連続殺人事件を追うキタガミ警部。超能力者のビトーを餌に、収監中のプゾーの知恵を借り犯人を追う。とにかく主から脇に至るまで全ての登場人物が表情すら判別できないほどの汚濁と不幸にまみれにまみれている。作品世界にどっぷりと沈み込み、中断のため本を置く度にどっと疲弊した。

2016/10/17

hanchyan@飄々 

読んだ。まず思ったのは「“鬼畜”系」ってやっぱちょっと違うんじゃないか、ということ。むしろ野生動物に失礼だぞそれ(笑)。で、野生動物が児童虐待するかどうか浅学にして知らんが、「鬼畜の“如き”所業」っていうからにはこの悍ましい行いの主体は我々ヒトなのだ。切々と淡々と、実に適切な表現で描写され、それに対する判断は留保されて受け取る我々にゆだねられるという、実にシンドいはなし。例えば公共交通機関内で「やかましいガキ引っ叩きたい」と思った経験は無かったか?果たして本当に自分と全く無関係な他者の振る舞いなのか?↓

2016/02/13

Zann

★☆☆☆★平山さんデビュー作にして、廃版のためレア本。サイコパスVS警察・超能力者。『羊たちの沈黙』『警察の内部のごたごた』『超能力者の苦悩』『児童虐待』など、かなりてんこ盛りな内容で、序盤の場面展開に戸惑うものの、ラストに向けて盛り上がっていくナイトメア感!!平山作品は、グロいながらもどこか他人事と感じさせる所がありますが、デビュー作だからか、登場人物に感情移入してしまう部分もあり心が痛い(>_<)でも、そこが逆に好きでした✧•̀.̫•́✧今の平山さんの洗練された文章で改訂版希望です(๑•̀ㅂ•́)و✧

2016/07/07

hanchyan@飄々 

今世紀に入ってから話題になった幾つかの北欧ミステリとかルメールとか。それらに先んじて、前世紀末の本邦で本書が刊行されていた、その事実。なんだか日本人として誇らしい気持ちになったぞ(笑) 嘴矢(あるいは表面化?)として「羊たちの沈黙」があったにせよ、そちらと本書の関係は、あたかもウォルト・ディズニーと手塚治虫のようだと個人的には思える。傑作(と自分の中に確信はあるが)かどうかは評価の分かれるところだろう。だが、何もかもを薙ぎ払う程のものすごい熱量を内包した、とんでもない力作であることは論を俟たないだろう。

2023/06/08

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