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作家
中村文則
出版社
河出書房新社
発売日
2014-07-14
ISBN
9784309023021
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A / 感想・レビュー

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ナイスネイチャ

図書館本。短編集。どれも独創的な作品集。「セールスマン」なんかは思春期中高生男子のセリフだろっていうぐらい。「生」の物語というより「性」の方が強い。ただこの作家さんは癖になるなぁ。

2015/10/08

ケンイチミズバ

著者に関しては、時々アブナイ作品の人という認識です。冒頭、ああやっぱり狂ってるな、他のもかなとの思いを抱きながら手にしました。停まる駅がない列車は、伊坂さんのセミンゴを彷彿としました。糸杉はゴッホと同じ幻覚を追体験してるかのようです。シュースポスの神話状態にある蟹の語り、夢や希望はあるというだけで届かないのが人生の本質に頷きながら入り込めないところだったが、蛇は秀逸、AとBはうなりました。ラストは自身の作家としての独白で、文学に向き合う素朴な葛藤が感じられました。いい人じゃんと思ってしまいました。

2016/07/11

chimako

ごく普通の主婦である。フルタイムの仕事をし毎日何ページかの本を読む。今のところ食べるのに不自由はないが鮑や松坂牛が食卓にのぼることはまず無い。ささやかな悪意はお互い様とやり過ごし、胸の内でため息をつきながら笑顔を作ることも出来る。一番大きく括られた集合の片隅が住処。そのありふれた読者が時々出会う本に全く次元の違いを感じることがある。今回は短編集。連作かと思いながら読むうちに「この読み方ではわからない」ことに気づく。読み方を変えても融合できないのはこの本と自分の住処が違うからだろう。最終編だけは胸に落ちた。

2017/02/02

ケイ

珍しく短編集。前半の作品は、気を滅入らせる波長。下品な所もあり、作者の良さが出ていない。自身が後書きで触れていた四品のうち、まず官能小説特集に書いた二品、『蛇』若い縛られた女と老人、そしてそれを見る第三者の関係と、檻に入ってハムスターを飲み込み檻から出られなくなった蛇の話とが絡み合う艶かしさがよくでていた。『信者』では神の面前で性行為を行う男女を神が見ていたら?との問いかけに衝撃を受ける。表題の『A』、戦争がもたらす狂気がよく伝わってきた。

2014/09/15

R

短編集でした。純文学とカテゴライズしていいのか、戸惑う感じで、私小説めいた、あるいは、人間の根源的な暗さを描いているんだけども、どこか突き放したようなばかばかしさをまぶしていて、暗く落ち込むばかりではない内容でした。著者自身の何かが反映されているのかわからないけども、何かしらの現代文学に関する批評と批判と、愚痴が織り交ぜられていて、さらには下ネタも含むどうしようもない堕落も描かれていて、読んでみれば楽しい小説ばかりだったように思います。何に対するかはわからないけど、鬱屈というものが存在すると感じました。

2017/10/12

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