ギケイキ2: 奈落への飛翔
「ギケイキ2: 奈落への飛翔」のおすすめレビュー
町田康が描く“面白すぎる”源義経が帰ってきた! 抱腹絶倒の一代記、第二弾
『ギケイキ2 奈落への飛翔』(町田康/河出書房新社)
〈当時、なにか詩を貰ったら必ず詩を返さなければならず、これをしないというのは非常に失礼というか、既読スルーの七百倍くらい鬼畜なことであった〉
何のことかというと、これは平安の世の礼儀であった返歌のことである。語り手は源義経。町田康著『ギケイキ2 奈落への飛翔』(河出書房新社)は、かの義経の魂が900年の時を経て、われわれ現代人にその一代記を語ってくれるというスタイルの小説。実在する軍記物語『義経記』をベースに、“町田節”ともいうべきリズミカルかつグルーヴ感に満ち満ちた文体が、実に奇想天外な世界を作り上げた。
第1巻である『ギケイキ1 千年の流転』では、源義朝と常盤御前との間に生まれた義経の幼い頃の逃亡の日々、鞍馬寺での修行の日々、武蔵坊弁慶との出会い、武将としての活躍等々が語られ、第2巻では挙兵した兄・源頼朝のもとへと駆け付けるシーンから始まる。
苦労の末、感動の再会を果たした兄・頼朝と弟・義経。しかし、やはり弟を脅威に感じる頼朝は、刺客として土佐坊正尊を義経の屋敷に送り込む。その時義経はどう…
2018/10/9
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ギケイキ2: 奈落への飛翔 / 感想・レビュー
starbro
町田康はマイブームの作家です。2年前に読んだ第1巻に続いて第2巻です。多少中弛み感はありますが、相変らずの面白さ、2年後?の第3巻(最終巻?)に向けて、クライマックスがどうなるか大変楽しみです。源頼朝の顔はそんなに大きかったのでしょうか?(笑)
2018/08/03
ケイ
義経や弁慶の最期は周知の通り。頼朝に睨まれたからはどうしても次第に劣勢になる。襲ってくる者達を追い払っても、また次が来る。勝ち切りたくても、相手の大将を殺せばとがにとわれるから、そういう訳にも行かない。義経の言うことがだんだん強がりにも思えてくる。忠誠を誓った周りの者達は、戦で少しずつ減っていく。つらいなあ。弁慶、頑張れ。義経、頑張れ。静御膳、頑張れ。
2019/04/14
ゆいまある
前作では平家打倒に燃えて盛り上がっていたのに、義経が平家を倒して海に沈めるまでは丸ごとカット。平家物語を読んでね、と。その後登場人物も一気に増えるのでマジ平家物語読まないとついて行けない。3が出るまでには読まないと。土佐坊正尊が攻めてきて倒すエピソードがメイン。既に頼朝とは決裂してて、ここから先は悲劇しか待ってない予感。その後は戦に出て、静御前と吉野で泣く泣く別れるまで。娘に静御前がその後どうなるかネタバレされて(教科書に載ってますと言われた)もうめちゃめちゃ悲しい。ギケイキってこんな悲しい話なのか。
2020/07/26
ちゃちゃ
兄頼朝を慕いながらも疎まれる義経。今作は涙の対面から一転して頼朝の拒絶に合う。義経の政治力に怯える頼朝。解けぬ誤解。絶望の淵に沈みながら、義経が物語るのはいったい何か。喜三太、片岡、弁慶など個性的な従臣たちの超人的な奮闘にもかかわらず、まさかの都落ちで吉野へ。戦乱の世に生きた義経の向かう先は、やはり「奈落」なのか。相変わらずの町田節は健在で、突き抜けたぶっ飛び訳が続くが、「戦闘について語るなんて退屈なことさ」(えっマジっすか?)埋められない深い虚無感と孤独感が漂い始める。本作は身籠もった静との別れまで。
2019/03/05
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
前書『ギケイキ』が面白すぎたので、本書『ギケイキ②』。歴史小説では普通あり得ないぶっ飛んだ会話や表現は健在で、真面目なイメージとのギャップが刺激的で楽しめた。まあ、続編ということで、読者もそれなりに構えていた分インパクトに欠けるところはあったかもしれませんが、それを差し引いても、これまでとは少し違った視点から義経を振り返ることができるという意味では、ある意味、良作と言えるのかもしれません。
2019/07/21
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