ダ・ヴィンチニュース編集部 ひとり1冊! 今月の推し本【2月編】
ダ・ヴィンチニュース編集部メンバーが、“イマ”読んでほしい本を月にひとり1冊おすすめする新企画「今月の推し本」。 良本をみなさんと分かち合いたい! という、熱量の高いブックレビューをお届けします。
風化以前に現実さえ知らない3.11の福島『家族写真 3.11原発事故と忘れられた津波』(笠井千晶/小学館) 『家族写真 3.11原発事故と忘れられた津波』(笠井千晶/小学館) 2011年3月11日から早くも10年が経とうとしている。当時、実家の茨城から通勤していた私は、会社で夜が明けるのを待った。報道される悲惨な光景が現実のものとは思えなくてただただ茫然としていた。ここ一年でいえば、『典座 -TENZO-』『Fukushima 50』『浅田家!』と3.11に関する作品に触れ、立場が異なる被災者の感情に触れたつもりでいた。もちろん当事者ではない私が軽々しく理解できたなんていうことは到底不可能だが、毎回胸が張り裂けそうになった。『家族写真 3.11原発事故と忘れられた津波』は、福島第一原発から近く、集落の7割が津波被害を受けた南相馬市萱浜地区で暮らすあ…