モモ100%
「モモ100%」のおすすめレビュー
〈経血がついた布団にしみこませるメイク落としのような男〉。18歳で文藝賞を受賞した日比野コレコ氏の表現力にヒリヒリする
『モモ100%』(日比野コレコ/河出書房新社)
18歳で文藝賞を受賞した日比野コレコ氏の『ビューティフルからビューティフルへ』は余りにも衝撃的で鮮烈なデビュー作だった。日比野氏は、和歌や都々逸、俳句、漫才などと並び、フリースタイル・ラップを好み、大森靖子、ザ・ブルーハーツ、ゆらゆら帝国の歌詞や曲名をさりげなく引用していた。だが、新作『モモ100%』(河出書房新社)は色合いが違う。どこを切ってもパンチラインの連続なのは不変だが、物語性がせりだし、普遍性を獲得している印象だ。
主人公は苛烈な恋愛に身をやつす女子高校生のモモ。〈恋愛こそ武器であり革命、それ以外は退化だ〉という彼女は、恋愛なしでは生きていけない体質だ。彼女が追いかけるのは同じく恋愛中毒者の同級生・星野。彼は、クラスの女子全員に告白し、恋愛を〈生き残るための手段〉だという。モモは、インターネットでパンツを売り、刹那的な〈使い捨ての恋愛〉に胸を焦がす。星野はモモとの婚姻届を提出するが、同居することもなく、モモは新しい恋人の蜜に夢中になる。
ティーンの不安定な恋愛特有のトキメキとドキマギが交錯…
2023/12/15
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モモ100% / 感想・レビュー
Fondsaule
★★★★☆ 『たとえば丸腰の人を前に防弾チョッキをきる必要はないから、モモとサンタの会話は必然的に、まるくてやわらかいロールパンを順繰りに手渡しするようなものになった』 サンタは星野の姉。
2024/03/30
そうたそ
★★☆☆☆ デビュー作「ビューティフルからビューティフル」へは、よく分からないながらも圧倒的な熱量に満ちた文章に惹かれてしまったのだが、デビュー二作目となる本作はその傾向を匂わせつつも、読んでみるとどうも過剰装飾に思える文章に終始しており、話の肝心要の部分は薄っぺらいというか、装飾を剥ぎ取れば、ほぼ何も残らないのではないかと思ってしまうような印象があった。怒涛の勢いで一気に読ませてくれる文章なら良いが、どうにもテンポも悪く、読むのに難儀した。
2023/12/27
石橋陽子
卑猥な行動言動により不快感極まりなく私には合わない作風だと思い読了。がしかしその後考えるにつれ著者が訴えたい若者の叫びを少しだけ掴んだ気がしてきた。これは恋愛哲学なのではないか。何もかもが不安定なティーン時代、愛し方も分からない、自分も何者か分からない。身体から微量の血を流す事が趣味であり安心するという。誰も私の事を理解してくれないという思いから自販機のボタンを一気押しして出たものの如く相手を選ぶ。未来永劫安心だという絶対的なものを欲している十代。大人は皆そういった不安をくぐり抜け大人になってきたと思う→
2023/10/03
まるよし
現代アートねぇ。世代が違うせいか、若者のほど走るエネルギーの捌け口が、私とは異なる。理解する小説ではなく感じろ!ということだと、分かってはいるのだが。 合わなかったと、それまで。
2023/11/15
猪子
結局、テニス部は陽キャでカースト上位なので、私のような最終的に帰宅部みたいな者には分からない世界なのだ。
2023/11/23
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