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ナイアガラの女王

ナイアガラの女王

ナイアガラの女王

作家
C・V・オールズバーグ
江國香織
出版社
河出書房新社
発売日
2015-09-29
ISBN
9784309276434
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ナイアガラの女王 / 感想・レビュー

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やすらぎ🍀

1901年のノンフィクションである。子どもの頃に父と見上げたナイアガラ。重く頑丈な樽の中で、それ以上に屈強な彼女の精神が他者に求める。人々はこの冒険を大喝采で迎えるはずだと。ミセス・テイラーはこの滝に魅せられたのではなく、自尊心に流されていったのである。水音が耳元で聞こえる。急流がぶつかり振り回される。落ち際は一瞬の静寂となり、大歓声と引き裂く悲鳴が交じり、ただ啞然とする者もいた。しかしその挑戦で得たものは、執着心と空虚感である。仕組まれた名声が富に変わることは決してないが、女王の記録が消えることもない。

2023/08/20

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

20世紀のはじめの年、人生設計を誤まった62歳の女性教師は起死回生を賭けた挑戦をした。樽でナイアガラの滝を下る計画で、一攫千金を目論んだのだ。真面目にコツコツと働いてきても、老後の蓄えを残すことができなかった。ならば、一瞬の冒険に賭けよう。広報係を雇い、当日は多くの観客が集まった。「ああ、神様」の願いを呟いても、神様もどうしていいかわからないだろうな。史実に基づいた物語。アニー・エドソン・テイラーさんは現在でも滝を潜り抜けた唯一の女性として名を残している。翻訳は江國香織さん。2015年9月初版。

2015/10/25

mocha

60代の主人公が、手っ取り早く老後の資金を得ようと思いついたこと、それはなんとナイアガラの滝下り!オールズバーグが取材し、文章も絵も手がけている。日本語訳は江國香織さん。臨場感があって、YA以上向き。世の中は厳しいものです。主人公のファイトに驚くとともに、なんだかわびしくもなりました。

2016/02/24

かりさ

1901年ナイアガラの滝下りに成功した唯一の女性、アニー・テイラーの物語。ナイアガラの滝下り?一人きりで樽に入ってあの滝を落ちただなんて想像するだけでもゾッとするのに、なんと度胸のある女性でしょう。滝下りをし生還したとあればそれはそれはさぞ有名になったかしら?と思いきや、今の時代のように映像があるわけでなく…。なかなか厳しい現実にそれでもめげずにいたアニーの強さに胸打たれました。滝下りを成し遂げた確かなる証は自分にしかないとしても、彼女にしか言えない言葉は自信に満ち溢れ輝くのです。江國香織さん訳。

2015/10/26

モリー

作者は『名前のない人』を描いたオールズバーグ氏だと言えば、ピンとくる方もいるでしょう。表紙の絵を遠目に見た瞬間、画風からそうに違いないと確信した私は絵本の置かれた棚に一直線に向かいました。表紙の絵は、樽に乗り込んだ女性が滝を下る瞬間を描いた場面です。落ちる直前の一瞬の静寂と落ち始めた緊張感が同時に伝わってきます。作者の得意とする超現実的な話を期待しましたが、これは実際にあった出来事だそうです。しかし、作者自身が述べているように彼女の成し遂げたことには「あきらかに空想的な要素、単なる現実以外のもの」でした。

2022/06/19

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