ババヤガの夜 (河出文庫 お 46-1)
ババヤガの夜 (河出文庫 お 46-1) / 感想・レビュー
harass
初読作家。ひょんなことから暴力団の組長の娘の運転手兼警護をすることになったヒロイン。あまり期待していなかったが表紙の寺田克也の魅力で思わず購入。だがその価値はあった。外す展開とラストにちょっと驚く。テルマ&ルイーズとか、アメリカンニューシネマとかのテイスト。完全に自分の好み。最近では珍しい気がする。著者あとがきにあるが、ランズデール、エルロイを意識している。それらのファンならぜひ。
2024/02/24
olive
まるっきり相反しているように見える二人がやがて...からなるシスターフッド物語。女であることの生きづらさ、苦痛、一方的に押しつけられる価値観...。納得してないのに背を向けていたものを、暴力で描いているのが目新しいだけではなく爽快で血湧き肉躍ったよ。新藤依子の自分から喧嘩は売らないが、売ってきたら倍値で買う潔さも好きだが、お嬢様の尚子もいい♡尚子の変わりゆくヤバさもかっこよくて読みどころ。そして『二度読み必至』とあるように叙述的トリックが仕掛けられ、えぇぇぇーーー!そういことだったのと読ませるね~
2023/10/07
Kanonlicht
著者が女性と知り、驚くと同時に、登場する女性2人の特殊な関係性を「これはこういうものだ」と言わんばかりに余計な説明を一切排して描き切ったところに、なるほどと思った。個性的な人物がたくさん出てくるので、もう少しそれぞれのバックボーンを掘り下げてほしいかなとも思ったけれど、これぐらいの短さで一気に読めるというのも、アクション映画感覚でちょうどいい。
2023/07/31
活字スキー
【その動機も感情もまた、名前はつけられない。今日も、明日も、来年も、おそらく死ぬまで】書店で、ビビッドな赤と青の寺田克也イラストに目を奪われた。知らない作者の知らない作品だった。タイトルの意味も分からない。裏表紙のあらすじと帯だけでゾクゾクした。暴力を唯一の趣味とするヤバすぎる女・新道依子と、ヤバすぎるヤクザの娘・内樹尚子の関係性と生き様はあまりにも激しく、切ないものだった。明けない夜は無いという。これは長い長いババヤガの夜が明けるまでの、地獄を流れる濁流のような物語。
2023/09/14
ふりや
「私たち、地獄に落ちるの?」「バーカ、ここがもう地獄だよ!」暴力団会長の一人娘の尚子と、彼女のボディガード兼運転手を務めることになった依子、二人の関係を描いたバイオレンスなシスターフッド。喧嘩や暴言を吐くシーンを読んでいて感じる痛さ、ストーリー展開のスピード感と仕掛け、そして名前の付けられない感情で近付いていく二人の心の距離、どこを取ってもテンションの高い作品で一気に読みました。王谷さんの作品は初読みでしたが、他の作品も気になります。寺田克也さんの表紙イラストもめちゃくちゃカッコよくてインパクト大です。
2023/05/11
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