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末裔 (河出文庫 い 40-7)

末裔 (河出文庫 い 40-7)

末裔 (河出文庫 い 40-7)

作家
絲山秋子
出版社
河出書房新社
発売日
2023-09-06
ISBN
9784309419916
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末裔 (河出文庫 い 40-7) / 感想・レビュー

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エドワード

定年間近の公務員・富井省三が、妻と死別し二人の子供が独立した家へ帰ると、「鍵穴」が消えていた。家へ入れない?どうしよう。夜の街で“乙”と名乗る男に助けられホテルに泊まる。前半は幻想と現実の狭間で先の見えない不安の極みだ。今は空き家の鎌倉の伯父の家へたどり着いた省三が、亡き先祖に思いをめぐらせる後半への布石か?私の両親は先祖のことを話さなかった。両親の死後、初めて知ることが多くて驚いた。生まれてすぐ死んだ子供。戦死した若者。省三が先祖の故郷、佐久を訪ねる旅に自分を重ねていた。“乙”の正体にはニヤリだったね。

2023/10/29

阿部義彦

河出文庫新刊。2011年講談社、14年に新潮文庫から出たのの再文庫化です。絲山秋子さん売れないからなのか新潮社からも見放されて、それを再文庫化してくれるのが河出なのですよね、流石、坂本龍一の父親の居た会社です。小説読んだの久しぶりかも、絲山さんの小説は確かに読者を選ぶかも。私は筒井さんの「夢乃木坂分岐」に似てると思いました。サイコドラマの様、現実的整合性など二の次、主人公の省三のご先祖を巡る心の旅、だけど単なるオカルトには終わらない冒険譚。斎藤美奈子さんの解説も良い。久々に物語を堪能しました。

2023/09/21

くるみみ

検索すると新潮文庫が出てくるけど講談社、新潮社からの河出文庫で再文庫化と巻末にある。再文庫化の定義は知らないけど年を重ねた人ほど味わい深いお話だと思う。裏表紙のあらすじ通りの展開で、主人公58歳の省三の描写が自宅の鍵穴が無くなって家に入れなくなってもしゃあないわと思えるような絵に描いたようなオッサンだった。それがどんどん変わって本来の自分を取り戻していく様が良かった。そのきっかけがファンタジーのような出来事なところがまた良い。絲山作品は何冊も読んでるけれどこの作品で好きな作家さんだ!となぜか思えた。

2024/02/04

ほんどてん

「鍵穴はどこにもなかった」という一文から始まります。鍵じゃないの?鍵穴がないの?主人公は定年退職が近い男性。帯は「さまよえる男たちに贈る...」読み手が限られそうですが、そんなことは無く、ストーリーも文章も風景も、何もかも素敵な物語でした。きらきらした物語やスリルある物語とは違う、大騒ぎをしない落ち着いた物語の面白さに引き込まれました。著者がデビュー20年ということで、今年は様々な物語や特集を追いかけられる、とても嬉しい年になりました。本作も再文庫化ということで読書中はとても幸せな気持ちで読んでいました。

2023/09/19

バナナカプチーノ

絲山さんの描く中年男が本当に絶妙で、読んでいくうちにこの省三をなんだか応援したくなっていく感じでした。摩訶不思議な世界観はなんとなく村上春樹さんみもあり。河出文庫から出る絲山さんのシリーズ、好きです。しみじみと味わい深いですよね。

2023/10/19

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