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ドイツ怪談集 (河出文庫 126F)

ドイツ怪談集 (河出文庫 126F)

ドイツ怪談集 (河出文庫 126F)

作家
種村季弘
出版社
河出書房新社
発売日
1988-12-01
ISBN
9784309460581
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ドイツ怪談集 (河出文庫 126F) / 感想・レビュー

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星落秋風五丈原

「ロカルノの女乞食」弱い立場の人には親切にしなければならない。でないと自分も同じ目にあいますぞ!という因果応報のシンプルなドイツいち短い怪談。 「写真」両親の結婚式の時や妹の友人の洗礼式の時に、写真の片隅に映っている謎の男。髪の毛はなくステッキを持っていて、白い手袋をしている。両親も妹も男の事は知らないという。男と主人公との接点はなく、単なる偶然かと思っていたら、ある日路面電車で男と出会った。あろうことか男は私に向って手を上げて微笑みかける。彼は誰? 最後まで男の正体を明かすことないいわゆるイヤミス。

2020/06/06

内島菫

一度以前に読んだことがあることに気づいたのは、「オルラッハの娘」の、二体の霊に取り憑かれた娘について書かれた事細かなカルテのような記録を読んでいるとき。これでもかというほどしつこく同じことの描写を繰り返す様は、霊に取り憑かれるということと精神的病にかかるということの現れ方が同じだと見せつける。やはり「金髪のエックベルト」が秀逸。「庭男」の不条理さも怖い。死後の世界も非ヨーロッパ的世界も女性も、男性原理から見れば彼岸であったのかもしれない。

2015/09/29

eirianda

怪談は自分にも起こりうるような身近な出来事だとより恐ろしく感じるらしい。18世紀〜20世紀のドイツ作家の作品なので、怖いというより、興味深く読んだ。『オルラッハの娘』は精神分析医の症例を読んでいる感覚に囚われた。『幽霊船の話』はアラビックの雰囲気が心地良く、『ものいう髑髏』は観光地となった古城の少し前のお話で、どれもが幻想的なものだった。きっと、現代風に身近なものにアレンジすれば怖くなりそう。でも、今のままでも雰囲気はある。

2015/12/29

あなた

種村季弘が編纂ってなら買わないわけがない。この怪談集シリーズ、幻想文学シリーズと名前を変えた方がいい。で、編纂メンバーがよだれだらだらの垂涎もので、とりわけてファンの心をにぎりしめてくる良企画が鼓直編纂のラテンアメリカ怪談集(わお!)。沼野充義編纂の東欧怪談集(わおわお!)。絶版だが集めないわけにはいかないじゃないか。

2009/07/16

gorgeanalogue

再読なのだが、ほとんど覚えていなかった。「金髪のエックハルト」「オルラッハの娘」「三位一体亭」が面白い。解説の種村季弘が言うように、滑稽話と紙一重のようなものもある。やはり中世的な宗教がらみのものでないとあんまり「怖く」ない。また、種村はこうした怪談にペストがらみの話が多いと指摘して、「肉体の無意識的記憶は、フォークロアの共同性が色あせたあともしぶとく生き残る」としているが、21世紀の感染症の恐怖が記憶に残存して後に「文学」になったりするのだろうか。

2021/08/20

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