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本の背骨が最後に残る (文芸書・小説)

本の背骨が最後に残る (文芸書・小説)

本の背骨が最後に残る (文芸書・小説)

作家
斜線堂有紀
出版社
光文社
発売日
2023-09-21
ISBN
9784334100513
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本の背骨が最後に残る (文芸書・小説) / 感想・レビュー

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パトラッシュ

残酷で豪奢でグロテスクで童話風味な、ホラーとか奇妙な味を超えた奇怪な美に満ちた作品集。悪夢の如き狂暴な世界観の情景が極めてリアルに描写されており、サドとマゾッホと沼正三を混ぜ込んだカクテルは、ガラスを爪で引っかく音を聞き続けたような味だ。最悪な読後感のはずなのに、なぜか不快さや気持ち悪さはまるで感じない。ここまで振り切れると、クセの強さが幻想美すら醸している。かつて『廃遊園地の殺人』で本格ミステリに挑んで大スベリしただけに、開き直って突き抜けたか。この方向を極めれば、誰にも真似できない世界を構築できよう。

2023/10/24

ちょろこ

背骨に鳥肌の一冊。七話からなる、超異色の異世界の物語は変な例えだけれど、肌を飛び越えて背骨に鳥肌でちゃったような世界観。ざわざわ見事に絡めとられてしまった。紙の代わりに選ばれた人間が本として物語を語り継ぎ、正しき者だけが残る世界を筆頭に死や痛みの世界が心と目を突き刺していく。いっそのこと残酷グロだけだったなら潔く本を閉じられるのに。そうは本が許さない。人が心の奥底に秘めているかもしれない願望、残酷や痛みさえも耽美に昇華させ、仄かなせつなささえも漂わせるなんて。思わず本の背を指でなぞらずにいられない読後感。

2024/02/07

やも

めっちゃ面白いー!なんでこんなん思いついて、情景が浮かぶように書けるの?斜線堂さんは天才だ!!✨残酷だけど、どこか美しさも感じる短編SF集。本が人になって誤植の本は燃やされてしまう世界、痛みを人に受け渡せる世界、転生をガチであると信じてる世界、架空世界で誰かを思うままにいたぶる世界、雨が人の上に降り続ける世界、人を救済したつもりになれる世界…。人魚姫やしらゆき姫のパロディも面白い。誰もが知ってる話だけにアレンジは難しいだろうに、こんな解釈があるとはね。斜線堂さんは天才だ!!✨大事な事なので2回言いました。

2024/01/30

tenori

著者初読にして、とんでもないものに出逢ってしまったなと読後しばし感嘆。こんなに恐ろしく、それでいて美しい物語があることを知ってしまった。悪い夢を見てしまうことも厭わないかもしれぬ。と言うくらいの衝撃。本が禁止された世界で『人の姿をした本』が口伝で物語の本物らしさを競い、敗れた者が燃やされるタイトル作も想像力を掻き立てられるが、他者の身代わりに壮絶な痛みを引き受けながら愛する者と結ばれることを夢みる「痛妃婚姻譚」はジャンルを超えて響いてくる切ない感動があった。読書の幅を広げてくれた斜線堂有紀さんに感謝。

2023/12/11

のりすけ

美しくて繊細で残酷で痛々しい物語ばかりの短編集。大好物なのでところどころの肉体的負荷のかかる痛覚がピリピリする描写すら舐めるように読んだ。どの作品もすべて良かったのだが、特にお気に入りなのは「痛妃婚姻譚」「デウス・エクス・セラピー」。斜線堂さん、恋は地獄の道行きストーリーで爆走するのかと思いきや、こんなすごいのも書けるなんて!追いかけさせていただきますよ、ずっと、ずっと。そして装丁の素敵さったら!!

2024/02/22

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