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いちばん悲しい

いちばん悲しい

いちばん悲しい

作家
まさきとしか
出版社
光文社
発売日
2017-01-17
ISBN
9784334911423
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いちばん悲しい / 感想・レビュー

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🐾Yoko Omoto🐾

背後から執拗に刺し殺された男には妻子があり、若い恋人がいた。被害者遺族でありながら世間から謂れのない誹謗中傷を受け、無念より何より夫への憎悪が募る妻、妻子がいたことを知り家族への恨みを募らせる妄想女。女たちの凄まじい自己憐憫を描きながら、殺意の根源を思いもよらぬ方向から引っ張る展開には驚かされた。この物語に出てくる女性たちは皆、ただ平凡な幸せが欲しかっただけ。多くを望んだわけではないのに何故こんな目に合うのか、身勝手なようでもその嘆きは痛々しい。そして、無垢でありすぎる事の恐ろしさが強烈な印象を残す。

2017/05/18

いつでも母さん

誰が一番悲しいだろうー誰かと比べたって仕方ないだろうに・・ここにはそんな女たちがいっぱい。見た目も存在も薄いKYの男・戸沼暁男が殺された事件から色んな事が暴かれる。いやはや最初は妄想ちゃん・真由奈と戸沼の妻や家族のドロドロ話かと思ったら、あらあら話は過去へと広がるのが巧い。事件を追う刑事達の関係にしても、何げなく発した言葉が誰かにとっては剣となることもある。勿論始めから悪意を持って投げかける言葉もあるけれど・・いい意味カバーに騙されましたが、まさきとしかさん、今後も楽しみになって来た。

2017/04/28

風眠

ある男が殺された。その死によって明るみになってゆく男の真実、女の闇。男が殺されたという悲劇、そこから始まるのは、女達のカーニバル。ある日突然、夫が、父親が、恋人が、息子が、殺されたというのに、女達は誰もその男の死を悲しんではいない。むしろ「残された悲劇の女」という状況を楽しんでいる。男の死をネタに「私がいちばん悲しい」というカーニバルを繰り広げ、カーニバルの非日常に踊らされ、自分を見失い勘違いしていく女達。その姿はどこか滑稽だ。もしかしてこれは喜劇なのだろうか。とっても可哀想な女達が織りなす真っ黒な喜劇。

2018/01/11

まこみん

初めての作家さん。可愛い表紙と違って読み始めからラスト迄人間、とりわけ女性のエゴな部分がドロドロ渦巻くイヤミスだった。冴えない中年男が路上で刺殺され、前半はその不倫相手の真由奈の物凄い妄想と対峙する女刑事の薫子のネガティブぶりにイライラ。男の家族の妻、杏子と二人の子供達のネットや家の周りの嫌がらせは辛く、其々自ら崩壊し始める。嫌な思い出のキャンプ。後半は其処での当事者渡瀬川家に。妻の瑠璃と行方不明の妹、葵。強権だった彼女らの母。「犯人は水底から現れて、水底へ消えていった」ラストにゾクッとなった。

2017/04/21

ゆみねこ

一人の冴えない中年男が滅多刺しにされ殺害された。遺された家族・愛人、思わぬ事故で娘を喪った母親、渦中の被害者たちは皆自分が「いちばん悲しい」。真相が明かされても切なさが残る、こういう路線の物語を描いたら、本当に上手いですね。「完璧な母親」より、面白かったです。

2017/03/20

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