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一心同体だった

一心同体だった

一心同体だった

作家
山内マリコ
出版社
光文社
発売日
2022-05-24
ISBN
9784334914677
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「一心同体だった」のおすすめレビュー

山内マリコ氏が描くシスターフッド小説! 不満や愚痴をこぼしながらも、男性優位社会に抗う女性たちの雄姿に注目

『一心同体だった』(山内マリコ/光文社)

 ここ10年ほど、「シスターフッド」をテーマにした小説や漫画、映画などが注目されている。友情や愛情といったカテゴリに限定されない、女性同士の連帯を描いた作品である。例えば映画なら、『スキャンダル』『ハスラーズ』『ブラック・ウィドウ』『お嬢さん』『ワンダーウーマン』などが思いつく。また、シスターフッドは#MeToo以降に顕在してきた概念のひとつで、男性優位社会とは一定の距離を取っている。山内マリコ氏の『一心同体だった』(光文社)もまた、その系譜に連なる小説だ。

 小学4年生の千紗は、親友の裕子よりも活発な美香に惹かれていく。その裕子は同じクラスだが話したことがない美人のめぐみと知り合う。女子高を卒業しためぐみは、3年間自分を写真に撮りつづけてくれた北島に手紙を書く。その北島は映画監督という夢は叶わなかったが、歩美という親友と繋がりを持つようになる。このようにリレー形式で話が進行するのが特徴だ。

 彼女たちは皆、女性であるが故の生き辛さを抱いている。作中でその根源として描かれるのは、女なんだから料理くらいしろと命令…

2022/6/29

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一心同体だった / 感想・レビュー

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fwhd8325

どういうわけか、このような物語を好んで読んでいるようです。女子は、こんな風に思っているんだなどと感心するよりも、山内さんの文章が素晴らしいと思いました。各章、時代ごとの表現がお見事です。久しぶりに読んだ山内さんですが、とても面白かったです。

2023/07/15

モルク

10才の1990年から30年間の少しずつ繋がりのある女性たちを描く連作短編集。小学校の時の友達って確かに遠い。毎日一緒に通い、遊び、共に時間を過ごしたはずなのに、1度離れてしまうとばったりあっても何かあった訳じゃないけどなんか気まずい。中学時代の男子とよく話す女子の同性からの目線はよくわかる。私と世代はずれるのだけど、刺さるものが多かった。一心同体…うん、そう思えるときがかつて確かにあった。懐かしさでいっぱいになり、心震えた。

2023/08/04

なゆ

ああ、なんかすごく抱きしめたいような本。この中のあちこちに、私がいる。小中高校大学大人になってからも、その時々で一生懸命に生きる私たちが。十歳から四十歳まで、わたしたちの平成三十年史。リレー形式に繋がる8つの話。友だちになったりなれなかったりケンカしたり、素直になれなくても、頑張っても報われなくても。はじめ思ってたような生き方じゃないかもだけどそこで頑張ってる、筒井麗子と大島絵里を応援しながら読んだ。最後の章は、女性のための格言(?)がぎゅう詰め。そうそうそうそう、の嵐。私もこのマグマ、吐き出さなきゃな。

2022/06/13

Ikutan

男子と違って女子の友情って繊細で、ちょっとしたことでくっついたり疎遠になったり。10歳から40歳まで。それぞれの年代の女同士の友情を軽快な筆致で描く、ロンド形式で繋がった連作短編集。そうだよね、色んな感情を経験して、人との距離の取り方って学んでいくんだよね。女性というだけで、大人になってから受ける理不尽な仕打ちについては、私はあまり経験は無いけれど、容易に想像はできるよ。山内さんの女性へのメッセージも伝わってきた。最重要課題は自分の中のミソジニーとの和解。女じゃなくて、人になること。刺繍の装丁が素敵。

2022/07/26

りぃぃ

同年代だからこそ感じる、懐かしさ、嬉しさ、苦しさ、苦々しさ…手に取るように、記憶を呼び起こされるように感じられて、何とも言えない読書の時間。これからの人生が幸せでありますように。

2022/09/04

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