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珈琲が呼ぶ

珈琲が呼ぶ

珈琲が呼ぶ

作家
片岡義男
出版社
光文社
発売日
2018-01-17
ISBN
9784334979768
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ジャンル

「珈琲が呼ぶ」のおすすめレビュー

「変わらない店によって、いつもの自分が今日も肯定される」鋭い言葉にドキリとする片岡義男の珈琲エッセイ本

『珈琲が呼ぶ』(片岡義男/光文社)

そのとき僕に閃いたのは、珈琲そのものについてではなく、それ以外の珈琲についてなら、僕にも書けることはあるのではないか、ということだった。

『珈琲が呼ぶ』(光文社)のあとがきで片岡義男氏はそう書いている。350ページを超えるこの本には、全45篇の書き下ろしエッセイが収録されているが、先の言葉通り「珈琲そのもの」について書かれた本ではない。喫茶店のガイドでもない。

 では何が書かれているのか。

 たとえば冒頭に収録されている「『コーヒーでいいや』と言う人がいる」は、珈琲の注文の仕方についてのエッセイだ。片岡氏は「コーヒーがいい」と「コーヒーでいい」の違いを考える。そして、それを選んで特定した…という意味合いの強い「が」に対し、「で」は汎用的な広がりを持っており、「コーヒーでいいや、と言うときのコーヒーは日常そのものなのだ」と書く。日系3世として英語と親しみながら育ち、日本語・英語に関する評論も多い彼ならではの珈琲のエッセイだ。

「喫茶店のコーヒーについて語るとき、大事なのは椅子だ」では、京都の喫茶店「静香」の椅子につい…

2018/1/18

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珈琲が呼ぶ / 感想・レビュー

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コットン

久しぶりに著者の本を手に取る。いつもの片岡さんらしいこだわりが好きだ。例えば喫茶店の椅子だけで10ページ程も書いている『喫茶店のコーヒーについて語るとき、大事なのは椅子なのだ』なんて他の作家が書くと商品説明のような文字の羅列になったり蘊蓄をひけらかした感じになりそうな所を文章の的を得たスマートさに加え読後の爽やかな共感を呼ぶ点が凄い。そう!国宝とかではないが大事に修理しながら使われている骨董級のここの椅子に座ってみたくなるから不思議だ。そして喫茶店と言えば音楽が付き物なのでそんな音楽話もあり楽しめます。

2021/09/23

踊る猫

実に縦横無尽に、片岡義男は自身の記憶の中から「珈琲」を取り出しそれを文章に仕立て上げて並べていく。ここまで多彩な文章が「珈琲」でつながるものなのかと驚かされ、片岡義男の引き出しの多さに唸らされる。それでいて、どれも「捨て」な印象を与えず一級品のものとして(小品と長文、という相違こそあるけれど)成り立っているので読みながら陶然としてしまう。片岡義男は実によく街を歩き、文化を観察しその中で自らポップカルチャーを楽しんでいるなと思った。彼の中にはそれこそヴァルター・ベンヤミンや植草甚一の資質が備わっていると思う

2023/02/28

踊る猫

片岡義男を信頼できるのは、彼がエスタブリッシュメント/権威の側に立たないからだ。英語に関して硬派な主張を通す時であっても、映画や小説を論じる時であっても。この人はベタベタしたウェットな関係を忌避しつつも「庶民派」の立場を採りたいのかな、と思う。市井の一個人として、珈琲/コーヒーから見えてきたものをつぶさに記録し、そこから小説やエッセイを引き出す。その手つきの華麗さに見惚れてしまった。悪く言えばキザなエッセイではある。だが、観念を弄ぶだけで終わる作品ではなく、きちんと一本筋を通しこちらに丁寧に語りかけてくる

2021/10/19

シナモン

図書館本。著者のコーヒーに対する蘊蓄、エピソードがつまった一冊だったがボリュームがありすぎて…。興味のあるところを斜め読みになってしまった。そうなると目につくのはやはり大好きな京都の喫茶店のあたり。スマート珈琲の2階で洋食ランチ~からの1階でタマゴサンドとコーヒー。やはりスマート珈琲のホットケーキと美空ひばりのエピソードなどが興味深かった。スマート珈琲行きたいなー。また著者はSnow Peakのマグカップを愛用されているとのこと。新潟県人として嬉しかった。

2019/06/04

Nao Funasoko

私の人格形成において多分に影響を与えてくれたであろう作家のひとりであることは間違いない著者によるコーヒーに纏わる書き下ろしエッセイ集。コンビニ、と多くの人たちが呼んでいる店舗で、淹れたてのコーヒー、というものが販売されているという。--- 巻頭最初の一編からさっそく著者ならでは拘りが漂ってきて嬉しいじゃないか。(続↓)

2018/02/26

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