KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

秀吉の活

秀吉の活

秀吉の活

作家
木下昌輝
出版社
幻冬舎
発売日
2017-11-24
ISBN
9784344032118
amazonで購入する

「秀吉の活」のおすすめレビュー

豊臣秀吉も就活に失敗し婚活に苦労した!? 新たな切り口で描かれる出世道『秀吉の活』

『秀吉の活』(木下昌樹/幻冬舎)

『秀吉の活』(木下昌樹/幻冬舎)は日本人なら知らない人はいないであろう歴史上の人物・豊臣秀吉を題材にした小説だ。周知のとおり、秀吉は大河ドラマをはじめ多くの小説やドラマに描かれている。これまでの作品との違いは、その切り口。本作は秀吉のライフステージを10個に分けた530ページの長編小説だ。

 私にとって最も印象的な章は4章の「天下人の凡活」である。当時は弓や刀での戦い方から鉄砲に移行しつつあるときで、まだまだその効果的な使用法が広く認識されていなかった。多くの武将が鉄砲は役に立たないと考える中で藤吉郎(のちの秀吉)は「弓はもう古い」と先見性を発揮する。刀や弓の方が有用だと考える武将たちに鉄砲使用を説き合戦に赴くが、思いがけないトラブルで苦境に陥る。そこを救ったのが浅野又右衛門の部隊。藤吉郎に説得された又右衛門は鉄砲で戦うことを渋りつつも、弓部隊と融合したみごとな戦術で藤吉郎の窮地を救うのだ。しかし、又右衛門は最後まで弓の名人として一生を終える。敵大将との一騎打ちは弓。双方喉元に矢が刺さりつつも、安らかな最期を迎える…

2018/2/14

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

秀吉の活 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

starbro

木下昌輝は、新作中心に読んでいる作家です。『活』に拘った秀吉の物語、著者の創作も多いと思いますが、軽妙で快調に一気読みしました。『活』を前面に打ち出したせいか、著者の何時の毒(ポイズン)がなく、薄っぺらく感じました。著者は近い将来『直木賞』を受賞する作家だと思うので、期待を籠めて『喝』『喝』『喝』!!!

2018/01/25

いつでも母さん

私が思っている秀吉像は、本能寺の変まではそう、こんな感じだった。活き活きと『猿』が動き回っていた。そうして天下人まで登り切っちゃったんだ。十章の内、七章までが戦国の世に生きる農民の出の男の出世物語。木下作家が秀吉を描くとこうなるのだなぁ。父から教えられた『活きた仕事』最後に息子・秀頼に教えるあたり心憎い。するとどうしたって、賢さを活かせなかったのは母・淀殿の所為になるよね・・いや、賢さ故に優しさが勝ったのか。それにしてもいろんな『活』があったのだなぁ。

2017/12/10

nico🐬波待ち中

「同じ"生きる"なら、"活きる"でないと駄目なのじゃ」実父からの教え通り、たくさん考え他人に気配りして一生懸命働く藤吉郎。百姓から天下人に登りつめるまで、就活、婚活、昇活等10の「活」から豊臣秀吉の生きざまを描いた物語。強い信念をもつ藤吉郎も凄いけれど、その藤吉郎の良さを見極め導いた織田信長の存在は大きい。偉大な指導者、気のおけない友達、ライバル、賢い伴侶等、人との出逢いを活かせたことが後の「秀吉」を生み出したのだと思う。そして最期まで多大なる影響を及ぼした信長が一番の"活きた"道標だったのだと思う。

2018/01/25

修一郎

秀吉の生涯で最もキラキラしているのは壮年期の岐阜城攻城から賤ケ岳の戦いまでだと思う。小一郎や義父の竹阿弥,浅野又右衛門ら仲間に囲まれて奔走した「信長旗下での出世篇」は生き生きしていて楽しい。朝廷工作についてあまり知らなかったので新鮮だった。妊活トラバナシ,胸糞悪いね。清正公お土産の虎肉話は知られているけど,でも晩年の醜悪秀吉たっぷり。ここらへんが木下さんの文章らしいところ。木下さんが描く歴史のメジャー秀吉は,何事も目標を立てて邁進する思い切り前向きな大阪の人が好きな方の秀吉サンなのでした。。

2018/01/06

とん大西

【活】という言葉で切りとった天下人の人生。語り尽くされた観もある秀吉像ですが、終始一貫したコミカルさはなかなか新鮮でした。信長の草履を温めている頃や寧々と結婚する頃はコメディチックなキャラがマッチしてホームドラマのような朗らかな味わい。ただ、秀吉の尋常ではない人生にいつまでも陽気キャラは続かないでしょう。正直なとこ、本能寺あたりで野臭ただよう凄みを拡散しはじめてほしかったところではあります。本作、木下さん特有のシニカルさは控え目でしたね。

2019/11/09

感想・レビューをもっと見る