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春狂い (幻冬舎文庫)

春狂い (幻冬舎文庫)

春狂い (幻冬舎文庫)

作家
宮木あや子
出版社
幻冬舎
発売日
2015-04-10
ISBN
9784344423312
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春狂い (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー

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ミカママ

賛否両論ある作品のようだけれど、私にとっては、究極の恋愛小説だった。「私たちはひとつの卵になりたい。固く手を結びながら。いや、空気だ。水でもいい。そうすれば私たちは永遠で、生も死も関係ないものになれる」ふたりの生きた凄まじい人生に想いを馳せる。たかだか13や17の子どもの恋愛に、ここまで意味を持たせてしまった宮木さんはさすが。『花宵道中』に次ぐ、個人的ベスト。

2017/08/07

さてさて

『女は私を憎み、男は私に何らかの感情を抱いた』という先に、その対象となる『少女』のみならず、『少女』に関わりをもった人たちの人生が大きく狂わされていく様を見るこの作品。『構内を埋め尽くす桜は吹雪のように花びらを散らしていた』といった『春』の象徴でもある『桜』の情景を作品の中に見事に織り込むこの作品。『復讐するために生きていた』という鬼気迫る『少女』の物語の中に、美しさと残虐さを絶妙にブレンドしていく宮木あや子さんの筆の力をまざまざと見せつけられた、しばらく頭から離れそうにもない強烈な印象を残す作品でした。

2022/11/28

かなっぺ

お気に入りさんの感想をから、この本を知った。全六章の短編が視点や語り手を変え、時間軸を変えて進んでいく。『変態本』とは聞いてはいた。確かに変態な登場人物もいたし、内容的にも変態だ。背表紙のあらすじからは想像できないほどのエログロ、と暴力憎しみ、愛情などを素晴らしいほどの文章表現でドンドン引き込まれていった。*本当はお互い愛し合っていたのに、変なプライドのせいですれ違っていた夫婦の話は殺なく悲しい。主人公の少女は「憎しみから愛が生まれるわけがない」と信じて行動するがそれが覆され最後に少女は哀しい涙を→

2017/06/27

ケイ

彼女が何をされている場面でも、イヤらしさやグロさは感じず、常に少女の美しい肢体が頭に浮かんでいた。作者が描きたかった少女からは、狂わせるほどの美しさを何をもってしても奪えないのだと想像する。ミステリ仕立てなのも、面白さをひきたてた。徐々に話が見えてくると、あとは一気読み。最後になぜ少女は海に行かなくてはならなかったのか、その動機に説得力がなかったのが残念。

2016/07/17

りゅう☆

美しいが故、危険に晒されてきた少女。昔恋した女性に面影を重ねた英語教師、愛する夫と別居中に売春を続ける妻、担任前原の恋人ミツコの中に現れた少女、少女と同居する保険屋の男性。少女を取巻く者達が繋がってる所に面白さを感じる。少女が痛みを分かち合い、唯一心を許した少年の存在は大きかったのに彼の敵である兄により少年を失う悲しみ。お互いを愛するもすれ違う苦しさ。偶然の巡りによる少女の復讐が醜穢すぎる。そこで生まれた認めたくない感情に複雑。切なさ、愛憎、喪失、失望、絶望と負の感情の連鎖の中、前原とミツコの存在が救い。

2016/04/17

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