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鉄道廃墟 (ちくま文庫)

鉄道廃墟 (ちくま文庫)

鉄道廃墟 (ちくま文庫)

作家
丸田祥三
出版社
筑摩書房
発売日
2004-08-10
ISBN
9784480039729
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鉄道廃墟 (ちくま文庫) / 感想・レビュー

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ヤスヒ

1970年以降に撮られた鉄道中心の廃墟写真とエッセイが収められている一冊。廃車になった車体、廃線跡、廃駅跡、そして風景…懐古趣味というわけではないが見ているとやはり魅入ってしまう。著者の文章もただの解説だけにとどまらずかつてその鉄道が活躍していた頃の時代背景、また著者自身が写真を撮った当時の状況等、色々な切り口で書かれているのが興味深い。ついついその列車が走っていた時代を想像してしまう。それにしても本を手にとって驚いたのが著者の出身校が同じだった事。先輩だったらしい。ちょっと嬉しくなったりした。

2012/08/31

カール

朽ち果てた列車。廃線となった線路。崩れ落ちた橋。撮られた写真は空虚さを漂い、被写体は今にも消え去ろうとしている。「ノスタルジー」というにはあまりにも冷たい。そして写真と共に連なる文章がまた秀逸で、写真とは打って変わって匂いや情景を思い起こす。戦前から戦後。高度経済成長期の空気とはこの様なものだったのかと感慨深いものがある。その写真を撮る背景となった裏話や体験談、思い出話や歴史解説をまるで詩の様に語る。写真のセンスと共に、今風で言うストーリーテリングの才能を感じずにはいられない。1度手に取って欲しい。

2021/01/27

さっと

棄てられた朽ちていくばかりの哀愁ただよう廃墟写真の構図は極論どうしたってありきたりなものになるだろうが、この本は自身の体験にもとづく文章によってより印象深いものにしていて飽きることがない。高度経済成長の中で消えていったもの、まだまだ戦争や戦後が身近にあったこと、その時代をわたしは「歴史」としてしか見られないけれども、筆者は「記憶」の中でとらえている。わたしも廃線探訪をよくするけれど、世代によって見方がこうも違うのかと胸をつかれた。

2018/10/27

おさとう

廃墟系写真にトキメくつもりで頁を開いたら、予想外の方向からのアプローチで衝撃を受けた。所謂「暗い昭和」を語る文章と、存在する事でその終焉を伝え続けている廃列車との組み合わせがマッチしている為に、より深い哀愁が感じられる。

2009/12/01

Typhoon

丸田祥三は、写真家であり詩人だ。写真もいいが、そこに添えられた言葉たちもいい。さまざまな感情を蒸留した上にそれは生まれるのだろう。そこには常にノスタルヒアスの哀しみが漂っている。黄昏時に迷子になった少年時代の記憶、そんな一冊。

2014/12/30

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