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競売ナンバー49の叫び (ちくま文庫 ひ 7-3)

競売ナンバー49の叫び (ちくま文庫 ひ 7-3)

競売ナンバー49の叫び (ちくま文庫 ひ 7-3)

作家
トマス・ピンチョン
志村 正雄
出版社
筑摩書房
発売日
2010-04-07
ISBN
9784480426963
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競売ナンバー49の叫び (ちくま文庫 ひ 7-3) / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

非常に奇妙な物語。筋を追えば、元愛人が亡くなった大富豪が残した遺産(偽造切手コレクション)を贈与され、そのオークションに参加する所で終わるというシンプルな話。だけど表紙にも描かれている消音機付き郵便喇叭の存在性の証明の出来なさや同性愛への視点、当時のポップ・カルチャーの描写、名前などに仕込まれた言葉遊び、モチーフとして使われるレミディオス・バロから浮かんだり、消えたりする人物や反体制コミューンの様子にクラクラと眩惑。「ウィーン」も所々に不穏さが重低音のようにあり、最後に突発的に現れるという様子も不気味。

2014/08/19

たーぼー

隠喩とミステリー的技法の鬩ぎ合いに酔。主人公エディパはレメディオス・バロの絵画に自らの攪乱された日常を重ね描く。画に写された一切のものが彼女を満たす世界だとしたら切ない。60年代の世相を反映した社会的価値観も加味され、それは現在に至ってアメリカ人を惹き付けてやまない陰謀論、地下組織ネタも込められているからニヤニヤしてしまう。こういうの好きだなあアッチの人は。ピンチョン作品から醸し出される米西海岸カウンターカルチャーの匂いって解放感に容易に辿らない闇を狂信的に見せてくれるから理解不能部分も含めツボです。

2015/06/15

zirou1984

初ピンチョンということで入門書的な中編を手にしたが、初速から時速160㌔で情報がぶっ飛んでくるが如く濃密な読書体験だった。パラノイア的陰謀論は60'sというより現代的な主題であり、氾濫する情報はギブスンのサイバーパンク的世界観を想起させる。無数の記号が結託して共通の暗喩を導き出し、時に主人公の心情描写以上に語り掛けるものがあるというのは現代的であり、それは歴史を持たない国、アメリカの文化を正しく体現している。そう、記号は時に小説以上に小説的だ。それは全てを語り切らない、だからこそ読者は語ろうとしてしまう。

2014/05/03

市太郎

良く分からん。しかし、わりにすらすら読めるから困る。大富豪の元恋人の遺言執行人に何故か指名された主人公が、彼の関わった事業を調査していくという探偵小説的な物語であるらしい。・・・らしいというのはそれすら良く掴めなかったからである。恐ろしい吸引力がありながら読み進めるごとに益々わからなくなる。エディパという女主人公の視点からピンチョン的迷宮世界への旅路。この著者は自分の殻に閉じこもって、人に見せようとか楽しませようという気があまり無いようだ。分からないからそんな事思うのですが・・・。分からずとも読みたいわ!

2013/11/18

Mishima

言うまでもなく53/367ページ分の解注(注というには多すぎるから、らしい)を理解して読むというのが万全な読み方なのだろう。自由な解釈ありあり、というのがわたしの趣味なのでそのように読みました。数ページほど物語に入り込んだと思いきや韜晦にぶち当たる、を繰り返す読書。アメリカの不穏な空気、地下組織があって企みが神出鬼没。女主人公はグルグルと「何か」をたずねあるく、いやそれとも、「何か」にグルグルと回されてた?死んでしまった富豪の元カレの置き土産か。お金ってのは、ほんとに化け物だね。Grs1000

2016/11/24

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