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月蝕楽園

月蝕楽園

月蝕楽園

作家
朱川湊人
出版社
双葉社
発売日
2014-07-16
ISBN
9784575238693
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月蝕楽園 / 感想・レビュー

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utinopoti27

本作は、昭和の雰囲気を巧みに取り入れた「ノルスタジックホラー」を得意とする著者が手掛ける恋愛小説集だ。とはいっても、これはただの恋愛ではない。時に衝撃的で、時に切なく哀しい、歪な愛をテーマにした奇譚小説なのだ。中では、同性の後輩社員の指に性的興奮を覚えるOLの話『みつばち心中』が印象深い。短編ながら、谷崎や太宰を彷彿とさせる、耽美で退廃的な筆運びは、さすが直木賞作家というべきか。他の作品も総じて質が高く、それぞれに全く異なる味わい深さがあるので、こういう趣向がお好きな方には是非お勧めしたい一冊。

2021/07/31

🐾Yoko Omoto🐾

朱川作品初読み。冷静にそして純粋に、正気を失った者たちによって紡がれる異形の恋愛ストーリー5編。特殊な恋愛状況に蝕まれたが故に待ち受ける冷ややかな結末と、常識や理屈では到底説明することの出来ない盲目的な愛の形が描かれる。マイベストはダントツで「夢見た蜥蜴」。忠誠と支配の日常と、頽廃的な世界観の描写に終始不安感を煽られ、不透明な未来への主人公の戸惑いが余りにも哀し過ぎる衝撃的な作品。救いのない愛に身を焦がした彼や彼女らが行き着いた場所は、果たしてどんな楽園だったのだろうかと、思いを馳せずにいられない。

2016/06/09

❁かな❁

直木賞作家の朱川湊人さんの作品を読むのは2作目。報われないいろんな想いの恋愛短編集。5編入り。今作は昭和ノスタルジーな雰囲気ではなかったですが、なんとも言えない静かな世界でした。どのお話も苦しく切なく痛々しいです。とても濃いお話でアブノーマルなものもあるのですが、読み出したらこの世界観に惹き込まれて一気読みでした!私は『みつばち心中』が特に好み☆『夢見た蜥蜴』『孔雀墜落』もすごく辛かったです。どの章もインパクトあり、儚く熱く哀しいお話ばかりでしたが、なんだか物哀しく美しくて良かったです。

2015/01/24

kishikan

「月蝕楽園」、朱川さんを追いかけている者としては、このタイトルを見ただけで、心が踊ってしまいそうだ。というわけで、ホラーファンタジーっていうか、光と影、過去と今、心の奥に潜むものを映し出す物語を今回も大いに期待。5編の短編それぞれ、変わった愛の物語。アブノーマルだけど、それ故切なさが際立って、最後は涙を誘う。月の光さえ欠け光があたらなくなったところにしか、愛の楽園を見いだせない者達がいる、そんな悲しくも美しい物語がここにある。そうだよね、朱川さん。「夢見た蜥蜴」、「孔雀墜落」、たまらないほど儚く美しい。

2015/02/01

紫 綺

黒朱川でしょうか。みつばち・金魚・蜥蜴・猿・孔雀を擬えた、屈折した愛の短編集。官能的ではあったが、私には少々しんどいモノだった。苦手。

2014/09/07

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