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サクラサク、サクラチル

サクラサク、サクラチル

サクラサク、サクラチル

作家
辻堂ゆめ
出版社
双葉社
発売日
2023-07-26
ISBN
9784575246513
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「サクラサク、サクラチル」のおすすめレビュー

苛烈な教育虐待とネグレクト。虐待被害者である高校生二人が背負い込まされた苦痛と、同士として芽生えた絆を描いた物語『サクラサク、サクラチル』

『サクラサク、サクラチル』(辻堂ゆめ/双葉社)

「教育虐待」という言葉が世間に認知されるまで、それらはすべて「教育熱心な親」と同化していた。教育熱心な親は多い。だが、教育虐待はそれとは別次元のもので、明らかに子どもの心身を破壊する暴力である。辻堂ゆめ氏の新著『サクラサク、サクラチル』(双葉社)の主人公・染野高志は、そんな教育虐待の被害者であった。しかし、彼は自身が親から受けている仕打ちを「虐待」とは認識していなかった。同じ高校に通う同級生・星愛璃嘉(ほし えりか)に声をかけられるまでは。

 染野は、東大進学を目指して勉強漬けの日々を送っていた。また、ただでさえストレスの多い中、メールやSNSで誹謗中傷される嫌がらせにも悩まされていた。そんなある日、ホームルームの最中に呼吸苦と吐き気に襲われた染野は、慌ててトイレに駆け込む。呼吸が落ち着いたのち、トイレから出てきた染野は、ある人物に話しかけられた。ほとんど話したことのないクラスメイトの星が「大丈夫?」と尋ねてきたのである。これが、染野と星の交流のきっかけだった。以降、何度か会話を重ねた末、星は染野にこう…

2023/8/8

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サクラサク、サクラチル / 感想・レビュー

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starbro

辻堂 ゆめは、新作中心に読んでいる作家です。タイトルから爽やかな青春ミステリかと思いきや、毒親イヤミス青春譚でした。著者は東大卒、自らをどう評価しているのでしょうか❓ https://www.futabasha.co.jp/book/97845752465130000000

2023/09/14

パトラッシュ

東大合格のため猛勉強を強いられて心身ともボロボロな高校生の染野は、母子家庭で母親からネグレクトされている同級生の星と知り合う。大人の思惑や都合に暴力で従わされてきた教育虐待被害者の少年とヤングケアラー少女の出会いが化学反応を起こし、自分たちから青春を奪う大人社会への復讐を企てる展開はアラン・シリトーの『長距離走者の孤独』と重なる。異常なほど身勝手な双方の親は戯画的だが、二人が親を見捨てると決断するのも当然と思わせる。他人のためでなく、自分の生き方を自分で決めるための戦いに勝利する痛快な反抗のドラマなのだ。

2023/08/29

のぶ

読んでいて胸が苦しかった。東京大学に入学するための本人の努力と、それに伴う家族の行動を描いた物語。主人公は染野高志。東大を目指すことを強要されている高志と、自らと親の生活費を稼ぐためアルバイトしながら高校に通う、星という同級生の少女と出会うことから始まる。そして2人はシンパシーを感じるとともに、お互いの家庭環境に疑問を持ち、復讐計画を練る。合格するために家族から虐待ともとれる仕打ちを受け懸命に耐える高志。星との交流が唯一気休めになる。青春ミステリーだが、爽やかさはあまり感じなかった。

2023/08/09

ウッディ

勉強以外の自由な時間を奪われ、成績が下がると暴力を振るわれる教育虐待を受け、東大合格以外の生き方がないと思っていた染野と、生活の糧を娘に依存し、男ができると放置する母親の元で育った愛璃嘉は、クラスメイトとして出会い、お互いに自由に生きられることを教え合う。タイトルから入試を題材にした「ドラゴン桜」のような物語かと想像していたが、染野の地獄のような勉強の日々と親のエゴと虐待は予想外でした。染野に向けられた悪意の犯人、復讐の手段いずれも、予想した通りでしたが、子供に勉強させる意味を考えさせられる一冊でした。

2023/12/08

hirokun

★4 虐待されている生徒が一方で親に依存しているという困難な状況をテーマにした作品。親、家族からの自立、自律は青春時代の最大の課題であるような気がする。虐待の描写は些かシリアスで気分が悪くなるものであるが、最後は気持ちよいエンディングにつながっている。 少し、本題から外れるが、私は60歳の半ばを過ぎているが自分自身にとっての幸せとは何かいまだに掴みかねている。

2023/08/22

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