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虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか (平凡社新書 911)

虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか (平凡社新書 911)

虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか (平凡社新書 911)

作家
石井光太
出版社
平凡社
発売日
2019-05-17
ISBN
9784582859119
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「虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか (平凡社新書 911)」のおすすめレビュー

凶悪犯罪に手を染める少年少女には共通点が――。虐待された彼らはなぜ事件を起こしたのか?

『虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか』(石井光太/平凡社)

 凶悪な少年犯罪に対して、厳罰化を求める声が強くなって久しい。そのような世論に応える形で2014年には少年法が改正され、18歳未満の少年に対する有期懲役の上限が15年から20年に、不定期刑も5~10年から10~15年に引き上げられた。

 もっとも、一般的な世間の印象とは違い、少年の凶悪犯罪の件数そのものは1950年代半ばから60年頃をピークに激減している。ただ、再犯の割合は少しだが増加している。つまり、全体的には減少していながら、同一人物が再犯する傾向にあるのだ。そして、再犯を繰り返す少年少女の多くは、幼少期に虐待を受けたり、劣悪な環境で育ってきたことが明らかになってきた。

 そんな、少年犯罪と児童虐待の因果関係について深く踏み込んだルポルタージュが『虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか』(石井光太/平凡社)だ。ノンフィクション作家で小説家でもある著者には、『43回の殺意』(双葉社)や『漂流児童』(潮出版社)など、本書と近接したテーマの著書も多い。

■凶悪事件を起こす少年少女の育った…

2019/10/7

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虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか (平凡社新書 911) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

石井さんのルポはいつも重たくつらい。殺人、暴行、薬物中毒。少年少女達はなぜ犯罪を犯したのか?これまで、不幸な家庭環境が原因だという弁護を聞くたびに、いくら不幸な家庭とはいえ善悪の判断くらいはできるだろうと思っていたが、彼等のインタビューを読むうちに、必ずしもそうとは思えなくなった。物心つく前から暴行、ネグレクトを受け続けた彼らには「悪いこと」を学ぶ機会さえなかったのだ。絶望的な中で、最終章でまさに人生の全てを注ぎ込んで更生保護施設を営んでいる人々がいる事を知り感銘を受けた。五つ星です。★★★★★

2019/08/29

おくちゃん🌸柳緑花紅

生まれてくる家庭を選ぶことが出来ない不条理。他人の痛みを考えることが出来ない。自分の命さえ大切にすることが出来ない。人を傷つけて平然としていられる。その原因の多くは家庭にある。親の虐待により心の発達が阻害された結果が非行、事件へと繋がる。木に例えるなら子は葉。根が腐っていたら…更生への道のり。再犯。そして被害者遺族の苦しみ。悲しみ。国が、社会が、個人がそれぞれの立場で立ち向かうべき道とは。それでもそこに動き出した人達がいることに救いがある。多くのかたに読んでほしい気持ちで読了。

2020/06/27

rico

非行少年・少女達。暴力、ネグレクト、レイプ、覚醒剤・・・例外はあるにせよ、その生育歴は凄まじい。少年院等で矯正教育を受けても、社会に居場所がなければ元の世界に戻るしかない。そして彼らも子どもを持つ。果てしない反社会性の連鎖。その中で、田川ふれ愛塾の取組みは素晴らしい。信頼と帰る場所があることを実感すれば、光のある方に歩いていける。本来これは善意の個人頼みでなく「公」が担うべき役割。でも残念ながら、生産性至上主義が跋扈する社会では理解を得るの難しい。こういう著作がそれなりに売れるのは救いかもしれないけど。

2019/09/26

こばまり

虐待と少年犯罪の因果関係にも、矯正教育のシステムエラーにも暗澹たる気持ちになる。一筋の光明を見るが、やはりそこには人生を捧げたカリスマの存在がある。それにしても著者の多作に驚く。もはやユニット名なのではと思ってしまう。

2019/08/03

AICHAN

図書館本。昨年6月に予約してようやく手に取った。著者は全国の少年院を取材し、多くの入所者が恵まれない家庭環境にあったことを確かめた。虐待などを受け続けると、他人に対する感情が屈折するという。例えば人を殺すような犯罪を犯した少年でも、その被害者や遺族に対して申しわけなかったという感情が湧いてこないという。性非行についても同じことが言える。また入所者には発達障害の子が多く、発達障害で虐待を受けると非行に走りやすいことも確かめられた。つまり非行少年の多くは家庭で虐待を受けてきたということ。その矯正は難しい。

2021/03/26

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