KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

ほたるいしマジカルランド (ポプラ文庫 て 3-5)

ほたるいしマジカルランド (ポプラ文庫 て 3-5)

ほたるいしマジカルランド (ポプラ文庫 て 3-5)

作家
寺地はるな
出版社
ポプラ社
発売日
2023-08-03
ISBN
9784591178683
amazonで購入する Kindle版を購入する

「ほたるいしマジカルランド (ポプラ文庫 て 3-5)」のおすすめレビュー

「私の人生はとてもクソでした」が、全てを失った女性の人生を救った。遊園地の従業員の生き様を描いた『ほたるいしマジカルランド』

『ほたるいしマジカルランド』(寺地はるな/ポプラ社)

「仕事」に対する捉え方は、人によってさまざまだ。仕事を「生きがい」と言う人もいれば、「生きるため」と割り切って仕事に向き合う人もいる。どちらが良いも悪いもないはずなのに、なぜか前者だけが持て囃され、後者を「消極的な生き方」と揶揄する風潮が強いように思う。寺地はるな氏による小説『ほたるいしマジカルランド』(ポプラ社)は、そんな社会の風潮に居心地の悪さを感じている人々に、涼やかな風を運んでくれる。

 本書は、遊園地「ほたるいしマジカルランド」で働く従業員6人に焦点を当て、章ごとに各人物の生き様を描いた連作短編集である。物語の序章、遊園地の社長が入院したのを機に、後継者問題やリストラを懸念した噂話が社内に飛び交いはじめる。社長は、インパクトの強いキャラを活かして自らCMにも出演していた。それほどの存在感を放つ社長が体調を崩したとなれば、社内がざわつくのも無理はない。加えて、社長の入院と同時期に、園内を謎の人物がうろつきはじめる。すべての章において登場するこの人物は、物語のキーパーソンといえよう。

 それぞ…

2023/8/4

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

ほたるいしマジカルランド (ポプラ文庫 て 3-5) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ゆいきち

テーマパークで働く主人公たちのお話だから、きっとみんなそれぞれキラキラした想いを抱えてお仕事してるんだろうなと思ってたら、そうでもないみたい。みんな家庭だったり自分の夢だったり恋愛だったりで現実的な悩みを抱えながら、テーマパークで、それぞれの役割に徹しながら真剣に丁寧にお仕事をするだけ。そこで出会った人々とのかかわりで、働く上で大切な何かを学んでいく。お仕事に対するモチベーションはだいぶ上がります。個人的には、こじらせ男子?の村瀬くんエピソードがいちばん面白かったです。この後無性に遊園地に行きたくなった!

2023/10/14

とろこ

連作短編集。悩み事のない人はきっといない。誰もが、人には言えない辛さや葛藤を抱えているのだと思う。ほたるいしマジカルランドで働く人々もまた然り。けれど、それでも皆、自分がすべきことを誠実にこなしている。何か大きなきっかけがある訳でもない。けれど、ささやかな気づきから、登場人物たちは生きづらさの原因となっていることに対する捉え方が変わってゆく。おしつけがましくなく、自分は自分のままでいいんだよ、と、そっと背中を押してくれるような、そんな穏やかな一冊だった。

2023/12/03

優希

老舗遊園地で働く人々はどこか悩みを抱えているのですね。お客様の笑顔のために頑張る日常にリアリティを感じました。ほっこりするのとは違いますが、あたたかさのある作品だと思います。

2024/03/16

エドワード

大阪郊外の遊園地、ほたラン。テーマパークじゃない、お弁当可の遊園地。それ、ひらパーやろ。関西人はみんな解る、フレンドリーな遊園地の人々のお話。一話ずつ語り手が変わる体裁は山本幸久さんっぽい。ここで働く人々は、仕事が好きだ!じゃなく、常に雑念に振り回されているのがリアル。バイト、子会社、下請企業、みな不安定な立場だ。社長の市子のセリフ「代わりがいくらでもいる」のは「必ず戻る場所がある」こと、がいいね。「遊園地って何のためにあるんやろ?」には「何のためにもならんものが存在していい世界って素敵やん」もいいよね。

2023/11/09

おいしゃん

大阪のひらかたパーク、には行ったことはないけれど、地元に根付いた庶民的な遊園地というイメージがあって、巻末の取材協力にその名前があり大いに納得。まさにマジカルランドは、スタッフ全員が愛を持って手作りで作り上げた、そんな遊園地である。

2023/09/30

感想・レビューをもっと見る