二匹目の金魚
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「二匹目の金魚」のおすすめレビュー
独特の世界観を生み出すマンガ家・panpanyaの最新作『二匹目の金魚』
『二匹目の金魚』(panpanya/白泉社)
誤解を恐れずにいうならば、意味がわからない。けれど、強烈に惹かれてしまう。マンガ家・panpanyaが発表する作品を形容するには、その一言に尽きるだろう。
本名、生年月日、性別、そのすべてが謎に包まれた異色のマンガ家であるpanpanyaは、2013年3月に『楽園』春のweb増刊の「わからなかった思い出」で商業デビューを果たした。それまで同人活動をベースとしていたpanpanyaの商業デビュー作は非常に高い評価を集め、初の作品集『足摺り水族館』(1月と7月:編集)は、一部書店のみの取り扱いだったにもかかわらず「このマンガがすごい! 2014」のオトコ編にて第14位にランクインするという偉業を達成した。そんなpanpanya、待望の最新作が『二匹目の金魚』(白泉社)だ。本作には19編の短編が収録されており、いずれもpanpanyaが生み出す独特の世界観が炸裂している。
たとえば表題作である「二匹目の金魚」では、生き物係に就いた主人公がクラスで飼育している金魚を逃してしまったことの顛末が描かれている。い…
2018/2/8
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二匹目の金魚 / 感想・レビュー
absinthe
普段、日常生活の中でよぎる何故だろう。を、突き詰めて考えすぎるとこんな世界が見えてきてしまうのではなかろうか。そんな気がしてくるマンガ。夕方を知らせるあの音は、どこから来るのだろう。背景の描き込みがやたらと写実的でキャラクタがかわいらしいのでそのギャップもいい感じを出している。幻想的でほのぼのして、リアルでかわいらしい。
2019/07/11
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
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2021/01/21
ホークス
2018年刊。panpanya作品にはつげ義春を思わせる幻想味がある。人物がマンガチックで背景がリアルな水木しげる調の異世界感、『千と千尋』で急速に陽が落ちていく場面のような墜落感にゾクゾクする。その中で本書はちょっと穏やか。「ここからヤバくなるぞ」と思わせといて平和に終わる。『メロディ』は、毎日夕方に流れる音の発信源を探す話。楽器不明の奇妙な音。発信者を誰も知らない。音源に向かっても辿り着かない。怖い展開を覚悟していると、何だか優しい着地点に導かれる。ショートエッセイも著者のナイーブさが窺えて嬉しい。
2021/06/07
あたびー
panpanyaさんの本2冊目。夕方流れる音楽(後でドヴォルザーク「新世界より」の「家路」だと気づいた)の出処を探ったり、かくれんぼを極めたり、リヤカーを押し付けられて困ったりする素敵な短編漫画集。表題作はいきものがかりで金魚鉢の掃除をしていたら逃げてしまい、使命に駆られて金魚を手に入れるため奔走するという話。ところでこのおかっぱ頭の小学生的な子の名前はなんというのだろうか?
2022/11/21
kei-zu
夕方、子どもが帰る時間を知らせる音楽の放送は、町中探してもスピーカーが見つからない。ようやく探し当てた先は…(「メロディ」) 「運のないお守りは、ここでコースアウトして脱落していく仕組みです」製造されたお守りに運とご利益の選別過程があったとは。(「担いだ縁起」) リヤカーを引く主人公は、道路の一方通行や進入禁止の標識に行方を見失う。(「知恵」) 本書に掲載のどの物語でも、奇妙な景色の中、主人公は戸惑いながらも楽しそうだ。
2021/04/02
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