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冥途

冥途

冥途

作家
内田 百〓
金井田英津子
出版社
長崎出版
発売日
2013-05-01
ISBN
9784860955625
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冥途 / 感想・レビュー

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chimako

この表紙がすでに妖しい。金井田英津子さんの銅板画がふんだんに使われた贅沢な造り。物語に漂うのは不思議や怖れや諦め。何故こんなところに来てしまったのか、何故この人と関わってしまったのか、何故こんな姿になっているのか……わからないが、もうそこからは抜け出せない。まるで決まり事のように。正気と狂気の境目が漠然とあるようにこの世とあの世の境目も漠然とある。何とも言えぬ雰囲気の読後感。画の素晴らしさが気味の悪さを増幅し、読んでしまう。

2017/03/06

Nyah

彼岸と此岸の境界が曖昧で夢現の中に揺蕩うような世界。彼らは記憶をなくし、怪しげな世界に足を踏み入れる。「件」広野の中で突如「からだが牛で顔丈人間の浅間しい化物に生まれ」た自分は薄ら人間であった時の記憶がある。生まれて三日で予言をして死ぬとされている件。件に予言を迫る人の群れ。件=自分は知った顔が迫る中、どうにかやり過ごしたいと思っている。そして‥。/群衆の先頭が顔見知りというのは、件の作り方を知った彼らが作り替えちゃった?件は予言をするものであるが、人間の記憶が邪魔をするのか、これは予言をしたくない件。

2023/07/08

sin

漱石の夢十夜を想い描きながら読み始めたが、もっと理性的な視線で不可思議を追求したような物語であった。ひとつひとつの物語が物悲しい悪夢の描写でかなり雰囲気のいい作品であり、金井田さんの画はじつにしっくりとその雰囲気に融合している。

2013/08/24

tenso_h(堀川てんそ)

この本、幼いころ発熱で悪夢にうなされ朦朧として目覚め涙した夜を思い起こす。色彩・嗅覚・・思えば五感の鋭敏さは苦しみしか生んでいなかったような。美しいなどと思うのは振り返ってからのこと。各話がプツンと断ち切るように終わる度そんなことを思う。金井田英津子さんの絵(版画かな)が添え物などでない存在感を持っているのに百閒さんの世界と共存している。大人の鑑賞に堪えうる「絵+文」の本。

2013/07/10

ココマ

全編現実的ではない風景が出てきて想像が難しいところが多かったように思えたけれど、細密な挿絵に色々助けられた感があった。結末のはっきりしない話も多いが、そこが古典風で面白い。表題作の「冥途」は、やっぱり心にじーんとくるもの、ノスタルジーがあった。

2017/07/30

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