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僕たちの正義

僕たちの正義

僕たちの正義

作家
平沼 正樹
ダイスケリチャード
出版社
産業編集センター
発売日
2021-04-15
ISBN
9784863112957
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僕たちの正義 / 感想・レビュー

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よっち

10年前に自殺した恋人で患者でもあった沙耶の叔父が、全く同じ方法で自殺したことを知った心理カウンセラーの悠木文月。自らの止まったままだった時間を動かすために、文月は彼女と叔父の関係性、自殺した動機を追い始めるミステリ。文月の前に突然現れた沙耶の妹・真沙。突如姿を消した彼女を追う過程で明らかになってゆく意外な繋がりと真相。回想で明かされていった沙耶の過去が過酷でしたが、ではどうすべきだったのか、正義とは何かを考えさせられる結末で、様々なものを抱えていた彼らの垣間見える複雑な思いがなかなか印象的な物語でした。

2021/05/17

うまる

一応シリーズ3作目かな。心理カウンセラーから見た心の病と、職業ならではの専門的な話が興味深く面白かったです。鬱屈した感情をずっと聞いているというのは大変なものですね。病んでしまった精神科医を知っているだけに、この職業についても色々考えてしまいました。いのちの電話の方達は大丈夫なんだろうか。 これまでの作品は元々生き辛い人が中心でしたが、今回は明確な理由がある患者の話が主なので理解し易いです。主訴を探るというのが医療ミステリであり、全体的には主人公の過去と現在が絡んだミステリであり、読み応えがありました。

2022/01/18

rosetta

★★★✩✩臨床心理士を主人公にしたソフトなミステリー。10年前に初めての担当だった女性に好意を抱いてしまい彼女の死にずっと囚われたままの文月。新たに彼女の義理の父の死により立ち現れた別の視点からの世界。文体も粗筋も嫌いな話じゃないはずなのに何故か入り込めなかった。最後に語られる“みかん”の歪んだ告白がまるで蛇足のようでもあり真相のようでもあり。挟まれる心理学の用語解説がお勉強系のハウツー本みたいで、面白くはあったが物語の興味を削がれる原因だったのかもしれない。

2021/07/12

マカロニ マカロン

個人の感想です:B。著者は大学で心理学科専攻。主人公の臨床心理士の言葉に難しそうな専門用語が次々と出てくるが、それぞれに丁寧な説明がつくのでわかりやすい。表題の通り、「正義」とは何かを問いかけた話。「死んで当然の男なんですよ。あいつは…」と「世の中には、許す必要のない人間もいるのです」という言葉が重くのしかかってくる。死んだ男の行状はあまり詳しく書かれていないが、相当非道な振る舞いなのだと思うが、私は「死んで当然の」人間はいないと信じている。むしろ「人は誰も心の中に聞いて欲しい物語を持っている」に共感した

2021/08/11

彩灯尋

心理学を絡めたミステリー。読み応えがあった。今回よく出てきた単語は"ラポール"。信頼関係を築き上げた相手。共犯者としてこれ程の適正な相手はいないのではないかと思わせられる。心が通い合っているからこそ、その人を苦しめている存在を憎いと思ってしまうし、消してしまいたいと行動してしまう。そして正義の方向性。人殺しはダメなことだ、してはいけない。だが、それにより助かる人がいるとすれば…本当に人殺しは悪となる?いくらでも考えることを続けられてしまう題材。

2022/01/12

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