中上健次集〈6〉地の果て 至上の時
中上健次集〈6〉地の果て 至上の時 / 感想・レビュー
minoru
紀州サーガ、秋幸もの3作目。「路地」世界の解体が描かれる。再開発にともなう、秋幸から繁蔵たちに対する疑念も印象的。成り上がりの実父、“蠅の王”浜村龍造に対する屈折した心情、また“水の信心”によるサブトピックも妖しげだ。素行不良な人物たちで実感がわかなかったけれど、視点が入れ違うテクストは非常に濃い世界だった。
2024/04/14
Yanqiu
読んでも読んでも進んでいる感じがしなかったが、突然終わりました。ヨシ兄が撃たれてからのすさまじい展開のはやさについていくのに精一杯で、まだこれを十分に噛み砕いて吸収するためには、自分は未成熟であったと思いましたが、その状態でこの空気を吸えたことはとても貴重な体験だったとも感じます。今回は文章のリズム、そして秋幸の住む世界の雰囲気を味わうためにざっと読み通したので、いつか『鳳仙花』からこの紀州サーガを再びつぶさに読み返したい。
2018/03/25
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