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終わりと始まり

終わりと始まり

終わりと始まり

作家
ヴィスワヴァ・シンボルスカ
沼野充義
出版社
未知谷
発売日
1997-06-01
ISBN
9784915841514
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終わりと始まり / 感想・レビュー

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Hideto-S@仮想書店 月舟書房

ごく当たり前の言葉が組み合わさって、不思議なきらめきを放ち始める。心の片隅にある感情を照らし、柔らかい部分に触れてくる。季節や感情をまるで隣人のようにもてなし、時に「兄弟愛」や「同情」の弱々しさにはっぱをかける。いつまでも「憎しみ」や「疑い」の後塵を拝しているな、と。1996年にノーベル文学賞を受賞したポーランドの女流詩人の詩集。ノーベル賞委員会は彼女を「詩歌のモーツァルト」と評したという。シニカルなユーモアと残酷さと希望。魂の眠っていた部分が揺り起こされた気分になって、少しだけ途方に暮れている(笑)。

2016/03/16

miyu

とにかく詩を解せない。比喩や暗喩って何さ?と思う。想像の翼を広げたりするわけ?そもそも翼無いし、とか揶揄したくなる。そんな私がシンボルスカを読む。とんでもないことである。しかし彼女は難しくない言葉で難しい普遍の真理をさらりと言ってみせるのだ。それ恋愛詩なの?と思うものが実はそうでもなかったりする。思うに詩ほど読み手の深層心理や、生きてきた過程や教養具合を曝け出す媒体も他にない。そして他人に説明し難いのもまた詩の特徴だ。だから私は詩を解説し美麗を並べる人が信用できない。黙って読めば?伝えたいのはこれだけだ。

2016/06/15

燃えつきた棒

沼野充義先生の『徹夜の塊3 世界文学論』で紹介されていたので、手に取ってみた。 チェスワフ・ミウォシュのいう「ポーランド派」の詩に興味を持ったから。 実験のための実験のような詩は好きじゃない。 どんな詩人でも、本当に伝えたいことがあったなら、きっと伝わるように書くだろうから。

2021/05/30

とよぽん

池澤夏樹さんの、東日本大震災の著書にシンボルスカの詩が紹介されていた。そのポーランドの詩人の名を、先日たまたま図書館で目にして読んでみた。1996年にノーベル文学賞を受けた詩人ということも知らなかった。日常の平易な言葉を使いながら、彼女の詩には物凄い力と深さ、個としての人間に対する尊重を感じる。ノーベル賞受賞記念講演も、シンボルスカの人柄を偲ばせる素晴らしい講演だ。他の詩集も読みたい。

2018/10/24

Gotoran

池澤夏樹著書『春を恨んだりはしない』繋がりで本書を読んだ。平易な言葉遣いから、一読で理解できたかに思えるも、果たしてそうなのか?著者の思いは別なところに在るようにも感じる。読み手の在り方次第で如何様にも解釈ができる。〈わたしは知らない〉という著者の在り方から創出された一連の言葉は、個性的で、何処となく哲学的で、言葉の持つ魂・力強さを感じた。特に、タイトルの「終わりと始まり」、池澤著書に引用された「眺めとの別れ」、“この驚くべき世界”(ノーベル賞記念講演録)が良かった。また、訳者解説で理解が深まった。

2012/03/11

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