「少女まんがと季節感の話」『花とゆめ』編集長コラム「ときめきを探しています!」第7回

マンガ

更新日:2018/4/11

「あっすごい!」

 先日、編集部の後輩と数人とお昼を食べていた時、お店の窓から見える景色に後輩の一人が声を上げました。

 窓に背を向けて座っていた僕が振り返ると、窓の下を流れる神田川いっぱいに桜色の絨毯が流れていました。

 今年はお花見にも行けていなかったので、思いがけず春を感じられてラッキーな気持ちになりました。

スマホの写真では伝わりきらないかも知れませんが、本当にきれいだったんです!

 少女まんが誌が、少年まんがや青年まんがと比べても、大切にしているものの一つが季節感です。

 表紙一つをとっても春には桜、夏には海、秋は紅葉で、冬はクリスマスと、季節の花やイベントが描かれます。

 まんがの中身でも、バレンタインやお花見等季節のイベントを取り入れた作品が誌面を飾ります。

今年の花とゆめの表紙の一部。お正月・バレンタイン・桜…季節が反映されています。

 言うまでもありませんが、雑誌での季節感の演出は先取りが基本です。

 花とゆめでもクリスマス号は11月20日発売号、バレンタインは1月20日号と、常に先の季節を意識しています。

 これから訪れる季節やイベントへの読者の方の期待感を誌面に反映するのです。

発売中の9号には新学期企画としてキャラクターの鞄の中身チェックが。これは、先取りというよりオンタイムですね。

 ここで少しまんが雑誌の製作スケジュールのお話をさせてください。

 花とゆめは毎月5日、20日発売なのですが、まんがのしめきりは、大体その半月前です。連載作家さんがネームから原稿に掛ける時間も刊行ペースと大体同じの半月が基本です。ページ数の多いよみきりでは一月以上かけ場合もあります。

 お話の内容を編集者と作家が打ち合わせるのは、さらにその前なので雑誌の発売の1月から1月半以上は前。

 雑誌上で一月先取りで季節感を演出することを考えると、2か月以上先の季節のお話を考えている事になります。

 作家さんによっては数話分をまとめて考えたりするので、残暑の厳しい中でクリスマスのお話を打ち合わせていたりします。

 カラー口絵の記事等の場合では、カラーページは1色ページより進行が早く、発売の1月ほど前に印刷所に入稿をします。

 デザイナーさんに誌面のレイアウトの依頼をするのは、1週間から10日ほど前です。

 企画に合わせたイラスト等を作家さんに描き下ろしていただく場合には、その一月ほど前が多いので、こちらもやはり動き出しは実際の季節の2~3か月前になります。

 季節感を意識したアイテムのプレゼント企画では、まだお店に商品が売られていないことも多く、撮影用の見本が手に入らず、ひたすらショップを訪ねて回るという事もしばしばです。

 そんな風に前倒しで考えていると実際に世間がその季節・イベントを迎えたころには、すっかり終わった気になってしまっているというのが「あるある」なのです。

 4月の今は、そろそろ頭の中の季節を夏にする頃です。

 あなたの気持ちが夏に向けて盛り上がる頃に、夏色の誌面をお届けできますように。

 最後に最新の花とゆめをご紹介させてください。

ミニキャラが可愛い表紙は「贄姫と獣の王」。ふろくも各作品のマスコットが揃ったキュートなクリアクリップです♥

 音久無先生の「黒伯爵は星を愛でる」巻頭カラーでフィナーレです!

 多くの困難を乗り越えたハーフヴァンハイアとヴァンパイアハンターのカップルがどんな幸せな結末を迎えるのか、是非見届けてください!

二人をもっと見たかったという方に朗報! 花とゆめ12号(5/19発売)に番外編よみきり掲載決定です!

 出会いの季節・春に贈る新連載は安斎かりん先生の「きょうだいごっこ」★

 「きょうだい」に憧れるヒロインが同居することになったのは、仲最悪の兄弟で!?

トラブル必至の新生活がスタート!

 あなたにトキメキを届けられますように!

『花とゆめ』 2018年4/20号は、4月5日(木)発売!

鈴木浩介(すずきこうすけ)編集長
1976年生まれ。慶應義塾大学卒業後の2000年に株式会社白泉社入社。以来18年間花とゆめ編集部に所属し、2016年7月より同誌編集長に。

▶『花とゆめ』公式サイトはこちら

▶次回の鈴木編集長のコラムは、5月初旬更新予定です!

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