自由をわれらに! 「自由研究」を楽しめる子は人生を楽しめる大人になれる!?『小学一年生』編集長の未来はぴっかぴか♪第5回
公開日:2018/7/28
自由研究が悩みのタネ…という親御さんは多いはず
いよいよ夏休み! 学校のカリキュラムのない毎日は自由な毎日…と言いたいけど、今の子たちは塾や習い事がけっこうあって忙しいのかな? それにしても、学校よりは毎日固定で費やす時間は少ないはずですよね。昔に比べると、ドリルのようなワークブック的な宿題の量は少なくなっている傾向のようですよ。
そんななかで、夏休みの宿題といえば、「自由研究」。
これが悩みの種だ…という親御さんも多いのではないでしょうか?
ドリルなどの、面倒くさくても「言われたことをやればとりあえず終わる」ものとは違って、自由研究は「何をやるか」から自分で考えるもの。
日頃は「自由ってステキ」とか言ってるはずなのに、いざ「自由ですよ」と言われると「何をやっていいのかわからない」と困惑してしまう。
みんな実は「自由」が苦手なんですね…。
でもね、「自由研究」って、何をやってもいいんです。だって「自由」なんだもの。
そこがわかると、自由研究って、最高に楽しめるものになるはずです。
■「自由研究」は、「デイリーポータルZ」やユーチューバーがやっていることと同じ
ダ・ヴィンチニュース読者ならご存知の方も多いと思う、おもしろサイト「デイリーポータルZ」。ざっくり言ってしまうと、「くだらない思いつきを全力で試してみた」ネタ満載なサイトです。僕は以前からこのサイトがめちゃめちゃ好きなんです。
実は先日、デイリーポータルZの編集長の林雄司さんと対談をしました。
テーマは「自由研究」!(対談は『小学一年生』サイトにて近日公開!)
『小学一年生』編集長と「デイリーポータルZ」編集長が「自由研究」テーマで対談? と意外かもしれませんが、僕にとってはまったく意外でなく。
ちょっと前に「どうして僕にとってデイリーポータルZはこんなにおもしろいと感じるんだろう?」と考えたときに、わかったんです。
デイリーポータルZがやっていることは「自由研究」なんだ、と。
だからおもしろい。そんな話を林さんに伝えたところ、林さんとも意気投合して、対談が実現しました。
デイリーポータルZがやっていることのテーマは、ライター本人から出てくる「どうして?」「なぜなんだろう?」という疑問。それを実際にやって試してみて、それをまとめたものが、デイリーポータルZです。
あれ待てよ?
自分が感じた「どうして?」「なぜ?」をテーマにして、実際に実験したり調査したりやってみて、それを、他人が見られる形にまとめる…。ほら、これはまさに「自由研究」じゃないですか!
考えてみれば、今人気の多くのユーチューバーのやっていることも、これと同じ「○○やってみた」系です。
そう考えると、自由研究って実はおもしろいものなんじゃないかって思えてきますよね?
実は、僕ら雑誌編集者のやっていることも、まさにそれ。『小学一年生』を作ってると、ああオレたちの仕事って大人になっても自由研究やってるようなもんだなあ、とかねがね思ってました。
■子ども本人から出てくる「どうして」「なぜ」を親はスルーしないで!
とはいえ、子どもに「自由研究のテーマを自分で考えなさい」って言っても、パッと出てくるもんじゃないです。とくに低学年は無理。高学年でも自由研究に慣れてない子にはまず無理です。
でも、大丈夫。どんな子でも、「どうして?」「なぜ?」「〜って何?」と疑問に思うことは日常で必ずあります。
大事なのは、親がそれを聞き逃さずにしっかりキャッチしてやること! そこで親が「どうして…って言ってもそういうもんだから」とか「どうして…なんだろうね…(それっきり)」って言っちゃったら終わりです。相手が相手なら「ボーッと生きてんじゃねえよ!」と怒られてしまうところですよ。
そこで、親が正解を答えてやる必要はないのです。ただ、いっしょになって、「どうして…? ホントだ! どうしてだろうね?」って乗っかってやって盛り上がればいいのです。むしろ、親も即答できないような疑問を子どもが口にした、そのことを、まずおもしろがりましょう!
■親が絶対に言ってはいけない言葉は「そんなの、自由研究に向かないよ」
このとき、子どもがどんなにヘンテコなことを言ったとしても、親は「ええ〜? そんなのやめときなよ」とか「そんなの自由研究に向かないよ」とだけは絶対に言ってはいけません。そう言ったが最後、「ほかのことも考えてみれば?」と言ったって、もう子どもからは出てこなくなる。だって、ほかのこと言ってもまた「ええ〜?」って言われるかもしれないんだもん。それじゃあ自分の中にある疑問や興味を口に出すことがイヤになっちゃう。
とにかく、どんなことでも、まずは「おおっ?」と上げ調子のリアクションをしてやってください。たとえ内心は「ゲゲッ?」と思うようなことを子どもが言い出しても、まずは「ヘンテコなこと思いつくなあ、オマエ!」と肯定的なリアクションを。
だって、素人からするとヘンテコなことを研究している学者なんて、世界中にたくさんいますよ。極端な話、ウンコだって世界中に真剣に研究している学者がたくさんいるでしょう。その学者の先生たちにあなた「ウンコの研究なんてやめなよ」って言わないでしょ。それなら、子どもにだって同じです。
■子どもの思いつきをおもしろがって伸ばしてやるのが親の役目
リンゴがどうして木から落ちるのか、そんな理由知らなくたって人は死にはしません。そんなことよりそのリンゴが食べられるのかどうかのほうが生きるためには重要です。でも、どうして木から落ちるのかを知りたくなるのが、科学なんです。そこで「ものが下に落ちるのは当たり前じゃん」「そんなこと考えて何になるの?」で終わらせたら、世紀の発見はなかったかもしれません。
そこで、科学者や天才は、自分でその先に進めるかもしれませんが、小学生には無理です。だから親がおもしろがってやりながら、「ヘンテコなこと考えたね」「とくに不思議なのはどのへん?」「どうしたら確かめられるかな?」などと、乗せて乗せて深めていってやりましょう。
■自由研究「らしく」見せるワザは、「仮説」を立てること
そして、そんな流れで、やることが見えてくる。
そこで親が子どもに絶対に聞いておくべきなのは、「どうなると思う?」です。つまり子どもなりの「仮説」を立てさせるのです。
「仮説」を書くことは、自由研究「らしく」なる実践的なテクニックです。
まとめを書くときに、単にやったことを書き連ねるのではなく、まずは、やる前には自分がどう思っていたか、どうなると想像していたか、という仮説から始めるんです。そうすると、ぐっと「研究」らしくなります。
仮説を立てることの良さはそれだけじゃありません。
仮説が最初にあれば、最後の「感想」や「わかったこと」も書きやすいんです。「自分はこうかと思っていたけれど違ってこうだった」のほうが、書きやすい。仮説のとおりだった場合でも、「考えていた通りになった」と書くほうが「研究」っぽい。
さらに、裏ワザ的ですが、仮説があると、たとえ失敗してしまったとしても、その失敗した過程をまとめれば、りっぱな自由研究になります。失敗の原因を考えて書いてもいいでしょう。仮説さえあれば、うまくいかなかったらどうするの、という心配をする必要はないのです。
■「仮説」って、要するに「どうなるかなクイズ」です
「仮説」って言うと堅くて難しそうな印象がありますが、要するに、「さあ、どうなるでしょうか?」っていうクイズと同じです。子どもってクイズが好きなので、そのノリで自由に考えさせましょう。
それが最初にあれば、子どものテンションもモチベーションも上がりますよ。テーマが決まったら実験の前に必ずやっておくことをオススメします。
うまくいくかどうかよりも、まずは楽しんで。
自由研究を自由に楽しめる子は、人生を楽しめる大人になれるはずです。
■「自由研究」に関して『小学一年生』と『小学8年生』からお知らせ!
ここでお知らせです。ひとつは、冒頭で書いた、『小学一年生』×「デイリーポータルZ」コラボ企画。
①僕と林雄司さんの「自由研究」対談
②「デイリーポータルZ」のライター陣が「自由研究」目線で作った新ネタ
②過去の「デイリーポータルZ」の記事を、小学校の自由研究目線でとらえ直した記事
をWEBで近日公開します。
・デイリーポータルZ サイト
・『小学一年生』 WEBサイト
そしてもうひとつ! 『小学一年生』のきょうだい誌『小学8年生』が「夏休み2018宿題・自由研究大作戦」とコラボして開催するコンテスト!
その名も「第1回夏休み宿題・自由研究大作戦大賞」
大賞賞品はなんと、「図書券10万円分+Nintendo Switch+Nintendo Labo バラエティキット」!!
がんばってまとめた自由研究をぜひ送って賞品をゲットしましょう! くわしくは現在発売中の『小学8年生』2018夏号をご覧ください。
イベント「夏休み2018宿題・自由研究大作戦」はさまざまな企業や団体が参加するワークショップがたくさん。東京・大阪・仙台で開催します。自由研究のヒントやそのまんま使えるネタがたっぷりです。(入場には事前申し込みが必要です。詳しくはこちらをご覧ください)
『小学8年生』のブースも出展します。先日、某イベントでの様子をツイッターで呟いたら1万超の「いいね」をもらったこれ、学年誌のシンボル・勉強マークに入って写真が撮れるコーナーもあります。
今発売中の『小学一年生』8月号でも、自由研究を応援!
付録は、「とべ!とべ!ドラコプター」。ひもを引くだけでビューンと飛んでいくプロペラおもちゃです。
巻頭特集は「こん虫 さがそう! さわろう! かってみよう!」。昆虫の探し方から、知っていれば怖くない昆虫の持ち方、そして観察のポイントなども紹介。
連載の「かがくじっけん」は「空とぶたねをとばそう!」。グライダーのように飛ぶ「アルソミトラ」の種やくるくる回る「カエデ」の種。自然界にある飛ぶ種の形を紙工作で作って体験できます。
「こどもレストラン」も自由研究っぽく「いろが かわる ふしぎな おちゃ」として「マロウブルー」のお茶を紹介しています。
「いけ! いけ! スポーツ」は、オリンピックメダリスト北島康介先生のメソッドによる水泳レッスン。そのほか、「チームラボ」「恐竜のなぞ」など今月も盛りだくさん!
大人気連載、佐藤雅彦さん・石澤太祥さん・貝塚智子さんによる『アベベのぼうけん』。とおせんぼオニが現れるハラハラ楽しいストーリーの中にあるのは、「条件分岐」というプログラム。子どもは楽しく、大人は感心する「プログラムすごろく」、ますます好調です!
弊社販売部の情報によると、8月号はけっこう売れ行きが良いようです。ありがとうございます。夏のお供にぜひ『小学一年生』『小学8年生』を!
『小学一年生』8月号、『小学8年生』夏号発売中!
渡辺朗典
子どもの本を作りたくて小学館に入社。希望かなって『小学四年生』『ちゃお』『小学一年生』『ドラえもんふしぎのサイエンス』を経てふたたび『小学一年生』に戻り現職。趣味は工作。3人の子持ちでこの春から末の娘がぴっかぴかの小学1年生です。写真はウチの子ではなくて、小一モデル2018グランプリの2人です。『小学一年生』の最新情報はこちらから!
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