今こそ、あえての「築地と喫茶店」『散歩の達人』編集長に聞いた!

エンタメ

2018/10/23

『散歩の達人』11月号(交通新聞社)

 こんにちは。月刊『散歩の達人』編集長の土屋です。

 今月号の大特集は「純TOKYO喫茶」。平成生まれのカフェやコーヒースタンドが話題になる一方、昭和生まれの純喫茶も注目を集めてきた昨今。焙煎士の躍進やコーヒーの楽しみ方の多様化も相まって、ますます広がりをみせている東京喫茶の世界。クラシカルな喫茶店のスタイルを踏襲しながらも、“今”を映したエネルギッシュな新店。閉店した名店の思いやメニューを受け継ぎ開店する店。そして、歴史を紡ぎながら深化する街の喫茶店。本特集では、さまざまな土地から人が集う東京だからこそ生まれた喫茶店を、全部まとめて「純TOKYO喫茶」と呼んで紹介しています。今だからこその東京喫茶の魅力を余すところなくお伝えしています。

 今回のコラムでは「築地と喫茶店」について少しご紹介したいと思います。

 というと、皆さんは築地よりもつい先日の10月11日に東京中央卸売市場が移転した豊洲だろう。という話になると思います。私も取材で開業当日の早朝(朝4時前)に豊洲市場に行ってみましたが、今まではただの巨大な箱ものに思っていた市場の施設が市場関係者の活気で一気に血が通ったように感じました。真っ暗な豊洲の街に、この一画だけ煌々と明かりがつき、施設内を見るとターレーが走り回っています。いよいよ動き始めるんだなという期待に満たされました。でも、それだけに今まで市場があった築地に思いを馳せてしまうのです。

2018年10月11日未明の豊洲市場。ターレーが走り回って、活気に満ちていた。

 散歩の達人でも先月号の10月号からこの豊洲移転に際して、「築地から豊洲へ」という3号連続特別企画を掲載しています。豊洲市場については次号12月号で詳しくお伝えしますが、10月号では「築地市場」。今月11月号では「築地場外市場」を紹介しています。

 移転直前の築地は、すごい人込みで歩くのが大変なほどでした。それがお祭りのようで楽しいところでもあったのですが、今なら築地場外の寿司や親子丼の名店でも少しは落ち着いて食べられるはず。もちろん鰹節や玉子焼きなどの買い物も。それだけも今こそ行く価値があるというものです。

 そして築地場外には『喫茶マコ』があります。今年5月に前店主が引退してしまい、店主が変わってしまいましたが、居心地のよさと鳥雑煮は健在です。ただ、鳥雑煮は今までの関西風から、関東風のつゆに変わっています。それでも予想以上のボリュームとなんともいえない味わい深さは変わりません。場外に行ったらぜひ出かけてほしい店です。ちなみに本誌では、前店主のマコさんにも登場していただいているのでお見逃しなく。

赤いガラス扉も変わらない『喫茶マコ』。

 場外からちょっとだけ離れて、地下鉄日比谷線の築地駅近くには『ターレットコーヒー』という面白い喫茶店もあります。なんと、ここにはその店名通り、築地で活躍していたターレーが置いてあるのです。このターレーは今でも動くそうで、店内では荷台が椅子として利用されています。ターレーを眺めながらコーヒーが飲めるなんて、築地らしいですよね。

『ターレットコーヒー』のターレットラテはたっぷりの量を楽しめた。

 市場の喫茶店は市場で働く人たちにとって、日常業務の喧噪から離れるための憩いの場。築地はその役割もあって“純TOKYO喫茶”に外せないエリアでもあったのです。『喫茶マコ』『ターレットコーヒー』とも本誌に掲載しておりますので、築地場外での買い出し後にぜひ立ち寄ってほしいです。

 ちなみに築地の喫茶店といえば場内にあった「センリ軒」や「岩田」が思い出されます。これらの店は豊洲に移転して営業を続けるのですが、残念なのが「愛養」。様々なスタイルで頼めるトーストで人気だった名店でしたが、残念ながら豊洲に移転後は天ぷら屋さんになり、喫茶店ではなくなるようです。私も移転前に最後に訪れてみましたが、名物のトーストと半熟卵の味わいは忘れられないものになりました。

店名の看板から渋かった、築地市場時代の『愛養』。9月末に最後に訪れてみた。

 さて誌面では、ほかにも“純TOKYO喫茶”の情報がたっぷり。「中央線喫茶カルチャー新世紀」「西荻はなぜこんなにも喫茶の街なのか」「“マサコ”と音楽喫茶の今」「喫茶はあこがれの場所への入り口だ」「芳醇なるコーヒーとお酒の新世界」などなど、企画ページも盛りだくさんです。

 さらに、俳優・井浦新×映画監督・白石和彌インタビュー「新宿喫茶、若松孝二がいた時代」もお見逃しなく。

 そして、そんな情報が満載の本誌を、どうぞ一度、手に取ってみてください。

土屋広道(つちやひろみち)
1972年生まれ。関西学院大学社会学部卒業後の1996年に株式会社弘済出版社に入社(合併を経て2001年に株式会社交通新聞社)。『鉄道ダイヤ情報』『旅の手帖』編集部を経て、2008年より『散歩の達人』編集部所属。2017年11月号より同誌編集長。

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