「今日は音楽の話がしたいんだ。〜親愛! 小沢健二様〜」『コロコロ』編集長のうんちん日記
更新日:2019/4/25
ねえ、紙から音って出るのかな?知ってる限り答えはNO!
ねえ、じゃあさあ、紙から音を感じることはできるのかな?こたえはYES!
音楽のない生活なんてありえない、たとえそこに音が鳴っていようがいなかろうが、心の中には、いつも何かしら音楽が流れていて、結局僕はその旋律やリズムやメロディに促されて、モノを考えたり、言葉を発したりしています。
いつかやりたいと思っていたことが実現した。
小学生男児に向けた、音楽を題材にした漫画だ。
どうだろう、キミの心には、どんな音楽が鳴っているのかな?
きっかけは3年前にさかのぼります。
世界的な大人気ゲーム「マインクラフト」でお世話になっていたSIE(ソニーインタラクティブエンターテインメント)さんから声がかかりました。
「大人から子どもまで親しんでもらえるゲームキャラクターを創りたいんです」
「じゃあ、ソニーグループさんの中で社内公募をしてみたらいかがですか?」
その一言が種となり、やがて芽が出て、少しずつ少しずつ育ってゆきました。
ソニーといえばキラ星です!
憧れです!
どれだけソニーの製品を持っているでしょう。
中でもやっぱり、今でも一番の宝物はウォークマンです。
ウォークマンって言っても、デジタルオーディオプレーヤーじゃないですよ、ガチャっと開けて入れて閉めて、ボタンを押してのポータブルオーディオカセットプレーヤーのことです。
そのウォークマンで、中学・高校時代、擦り切れるほど音楽を聴きました。
1984年から1990年くらいの事です。
下町のにぎやかな家庭で育ったので、小学生時代、テレビのチャンネルは、やってる限りはいつも音楽番組でした。
ヒット曲や、懐メロ、いつも家族の誰かがテレビに合わせて歌ってました。
初めて自発的に買ったレコードは、イモ欽トリオ「ハイスクールララバイ」、初めて自発的に観た映画は「スニーカーぶるうす」、月曜日は「ザ・トップテン」、水曜日は「夜のヒットスタジオ」木曜日は「ザ・ベストテン」、金、土、日もバラエティ番組「全員集合」や「ひょうきん族」の中には必ず歌のコーナーがありました。
こうして僕の小学生時代は、漫画を読んでるか、歌ってるか、寝ているかの時代と記憶されることとなります。
そんな環境で中学生になって、音楽を外に持ち出せて、一人で聴くことが出来る夢のような機械=ウォークマン=がある事を知ります。
1人の時間を過ごす、、、思春期を迎えた複雑なクソガキにとっては、これ以上ない、もう“子どもではないな”と思える体験でした。
ダビングができるオートリバースのWラジカセでテープを編集、出来上がったカセットをウォークマンにセットして、食パンをくわえながら、自転車に跨がって学校に出発、というのが高校時代。
やがて、CDからカセットにダビング、録音媒体がカセットからMDに替わり、黒船IPODが登場。
せっせとCDをリッピングしてIPOD、IPHONE、デジタルウォークマンと乗り換えてきましたが、最近はだいたいの聴きたい音源はSPOTIFYで事足りてしまいます。
よくわからない単語ばかりだなあと思った方は、興味があったら検索してみてくださいね。
すごい時代になったなーと思いますが、聴いている音楽はそんなに変わっていないのも事実。
あと、音源の手に入れやすさは格段に進化しても、暇な時間があると、欲しいものが特段あるわけでもないのに、気付けば足がレコード屋さんに向かっているのも30年来の習性なのでしょうか。
こうして、気付けば、ずーっと音楽を聴き続けています。
リラックス。
心身を解きほぐして、内なる生命力を湧き上がらせる。
会社に足が向かないなと思う通勤のわずか数駅でも、キッチンシンクの中に重ねられた食器の山をかき分け濯ぎ始めるときも、音楽さえあれば、いくらかは明るい心持ちになれますし、それは、小さい頃の自分にとってもそうだったように、どんな時代に生きていようが、どんな人であろうが、同じように感じることだと思います。
本を読むこと、音楽を聴くこと、共通しているのではないでしょうかね。
だから、ソニーさんからお話しをいただいた時、複数の作品を生み出せるとしたら、必ずそのうちの一つは音楽に関わるキャラクターにしたいなと思ってました。
漫画と音楽が密接に関わって作品を形づくっていくことは、真っ白なキャンバスに何を描いてもいいよと言われたときに、僕がまっ先に描き始める絵です。
「Bラッパーズストリート」
選ばれた作品のタイトルです。
その名の通り、ラップがテーマになっています。
小学生男児にラップって、ちょっと背伸びしすぎでしょうか?
いや、そんなことはないと思います。
ラップって言葉遊びの一種とも言えますよね、ダジャレとかにも近いかもしれません。
だから難しそうよりも、楽しそうだって理屈抜きで感じてもらえると思うんですよ、ウチの読者にも。
あと、ソニーが創る作品なんだから、おしゃれでカッコよくあってほしい。
常に新しい時代を創ってきたソニーだから、トガった感じを出したほうがいい。
あとやっぱり声に出してラップしてもらいたい、自分でラップしてみることで、音楽は楽しいって一人でも多くの読者に実感してもらいたい。
なので、漫画に出てきたラップの歌詞は、Youtube「コロコロチャンネル」にて、実際にお手本を紹介しています。
この世界に何も存在していなかったものを、具現化した原作者のお二人は、天才だと思います。
数多の応募作品の中でこの作品はまさに「オレたちを見つけてくれ」とばかりに輝いていました。
いろいろな人のいろいろな想いが詰まっています。
時間はかかりましたが、この春から無事まんが連載とアニメ放送が始まりました。
おめでとう!
この作品に触れてくれるすべての人々に、目一杯楽しんでもらいましょう!
客観的に観て、僕は今、この作品に入れ込みすぎてます。
編集長は担当を持たないのがルール(別にルールは破ってもいいと思いますが)なので、編集部員から見れば、なんでそんなにのめりこんでいるのと首をかしげているかと思います。
でも、そんなことは気にしません。
だってやりたいから。
この作品に関わっていることが楽しいんだもん。
編集長業務に支障をきたすくらいまでは、頑張ろうと思います。
すでに支障をきたしているという声も聞こえてきそうですが。
まあ、編集部員にはそんな姿を見てもらいたいと思っています。
僕らの仕事は楽しんでナンボです。
そしてその楽しさの先には、必ずいいことがあるのだということを、鼻歌を歌いながら身をもって示すことで、皆に勇気を与えられればと真剣に思っております!
平成最後の今月の暗号です。
「スプラトゥーン2限定シリアルコード メカギア」と叫んでみてください。
「今月もおもしろすぎてありがとうなんて、ありきたりのお“礼は”言わないぜ!」と、令和最初のダジャレをフライングして言いながら、優しくリアクションしてくれる少年がいるかもしれません。
10連休をまるまる使って、春風に誘われて、青葉の匂いをかぎながらコロコロを読みふけってるような子をみかけたら、どうか暖かい目で見守ってください。
それではまた来月、うんこちんちん!
『コロコロコミック』最新号発売中!