『コロコロ』編集長のうんちん日記「やってやるぜ!2019」
公開日:2019/1/16
はじまりましたね、2019年!
今年もいい年にしたい、と本気で思ってます!
雑誌が売れないなんて聞き飽きました。
『コロコロコミック』はまさに雑誌本体を売らなければなりませんので、そうですね!なんて言ってられないんです。
必要以上に気張るつもりもないんですが、でもやっぱり年頭なので力が入ります。
今月はド直球でお送りします!
どうぞ!
毎年夏休みに開催している『コロコロコミック』の読者イベント「コロツアー」。
昨年の開催地では、開場前に朝早くから並んでくれている読者に対してインタビューを実施しました。
その模様は、うんちん日記の13回、14回にて詳しくレポートいたしました。
ご興味ある方はぜひ読んでみてください!
さて、インタビューをした際にもっとも印象に残ったこと、それは「『コロコロコミック』を読み始めた時のきっかけは何?」という質問に対して、大多数の子が「友だちからすすめられて」と答えたことでした。
それからずーっとこのことを考えていました。
それはすごく意外な答えだったからです。
創り手である自分の意識としては、読み始めのきっかけというのは「この漫画が面白そうだから」とか「この付録が欲しくて」とか、あるいは「テレビやネットで宣伝を見て」とかが一番多いのではと思っていました。
それに比べると、「友だちからすすめられて」は、ずいぶん素朴だなあというのが素直な感想です。
何かがある、きっとここには何かのヒントがある!
と考えた末、一つの企画をこの春立ち上げることにしました。
「少年団の発想は、僕が子供の頃の少年探偵団ですね。当時、あるマンガ誌に応募して当たると、仲間同士で持つ少年団手帳と探偵団バッジというのがもらえたんですね。その少年探偵団をファミコンでやったのが「ファミコン少年団」。高橋名人は明智小五郎なんですね。ですからまったく新たに考えたのではなく、自分が子供の頃「あれはおもしろかったよね」という発想からなんです。」
「現在の小学生の気持ちになろうという志向はあまりなかったと思いますね。それよりは自分が小学生だった時にどう感じていたかがよりどころだったかと思います。それがベースにある。『ドラえもん』で描かれている世界は藤本先生ご自身が子供だった時の子供心に根差しているわけで、次代を超えたそういうもののほうが、普遍的なところにつながるのではないかと思っています。今のカードゲームに熱中する子供の心を理解したい!という気持ちも重要だけど、対象の如何にかかわらず今も昔も同じ熱中する子供心はあるんですよ。当時のアンケートに「友だちと同じ女の子を好きになったらどうするか?」というのがありまして、友だちを出し抜いて取っちゃうのかというと「一緒にあきらめよう」と(笑)。小学生は勇気、友情、努力―その「友情」最も敏感に共感する年代なんです。そういう意味で硬派。
当時『コロコロコミック』はそういう硬派な子供に向けて作っていましたし、それは今も変わっていないような気がしますね」
『コロコロコミック』3代目編集長、平山隆さんの言葉です(出典「定本コロコロ爆伝!!1977-2009」渋谷直角・編 2009飛鳥新社発行)
去年の夏に、子どもたちにインタビューしてからずっと考えていたことの答え、それはここにありました。
2019年の僕らの読者は、創刊以来42年いや、探偵手帳も含めればおよそ60年前から受け継がれてる、同じ子供心を持っているんだ!
自分が面白いと熱中しているものを勧めたい気持ち、友だちが勧めてくれたものに共感して自分も読んでみようという気持ち。
2019年の僕らの読者も、硬派。
ならば、方法は一つ、ド直球を投げるのみです!
『コロコロコミック』42年の歴史を通じて、いつの時代も変わらず人気を博している名物付録があります。
それは、「コロコロコミック団員証」「コロコロコミック団員パスポート」です。
「「団員になれる」という意味だけの、自分だけの会員番号や、書き込んでカスタムできるバスポート…。今考えれば、『コロコロ』読んでないヒトには何ともありがたくない付録!でもそれは、『コロコロ』と僕らの連帯感を感じさせてくれて、ホビーに取り組む僕らの意識も変えた! さらには「『コロコロ』の読者であること」自体にも特別な意味を持たせてくれていたのだ!
『コロコロコミック』という雑誌に、いつまでも特別な思い入れがあるのは、これらの付録がただ購買意欲を刺激されるモノじゃなくて、読者と編集部の精神的な結びつきを刺激してくれていたからに他ならないと気づかされマシタ!(出典 定本コロコロ爆伝1977-2009)」
読者のみんな、いつも読んでくれてありがとう、僕たち『コロコロコミック』編集部はみんなのことを愛してるよ!と言いたい、特別な人なんだと知ってもらいたい。
だから、この人気付録の最新版を、3月15日発売の4月号につける予定です。
今までと違うのは、自分用、友だち用と2枚の団員証をつける点です。
つまり読者の仲良しの友だちでまだ『コロコロ』を読んだことがない人がいたら団員証をあげてねということです。
団員証の裏面には次のようなコメントを掲載するつもりです。
次号5月号を友だちに買ってもらい、2人で5月号と団員証を持った写真を送ってくれたら、先着で特製缶ペンケースをあげるキャンペーンを実施します。
団員証を通じて読者間に自分も『コロコロコミック』の一員であるという仲間意識を持ってもらえたらうれしいです。
それにしても、昭和平成を通じて小学生男児のハートの根っこというのは何も変わっていないんだなと思うと、この先雑誌を作っていくうえで、本当に勇気が湧きます。
やってやるぜ!
最後に今月の暗号です。
「ゾイドワイルド 限定パーツ ツインドファング引き換えチケット」と叫んでみてください。
「店舗リストに掲載されたお店じゃないと引き換えできないから気を付けてね!」と白い息を吐きながら優しくリアクションしてくれる少年がいるかもしれません。
お年玉で好きなものを買いつつも、忘れずにを『コロコロ』読みふけってるような子をみかけたら、どうか暖かい目で見守ってください。
それではまた来月、うんこちんちん!
『コロコロコミック』最新号発売中!
和田誠(わだまこと)編集長
1971年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業後の1994年に株式会社小学館入社。『幼稚園』『おひさま』『めばえ』『小学一年生』編集部を経て、2005年より『コロコロコミック』編集部所属。2015年より同誌編集長。イベントなどでは、編集長キャラクター「まこ殿様」として登場。
▶『コロコロコミック』公式サイトはこちら
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