andropが自身13枚目のアルバム『gravity』をリリース。成長、進化し続ける音楽――「絶対にいい曲がくる、そこに疑いはない」と語る4人の音楽制作とは〈インタビュー前編〉

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公開日:2023/8/23

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アルバム『gravity』をリリースしたandrop。写真左からベースの前田恭介、ボーカル&ギターの内澤崇仁、ギターの佐藤拓也、ドラムの伊藤彬彦

ほとんどの曲はレコーディングの朝にデモが届きます

――内澤さんが作詞・作曲を手掛けて、皆さんがアレンジをしていくと思うのですが、デモが届いた後はどのような作業になるのでしょうか?

佐藤:「Arata」はたまたま前からありましたけど、他の曲たちを含めてほとんどの曲がレコーディング当日の朝にデモが届くので、割と直感的ですね。その段階で詞もついていますが、完成形ではないです。でも、“ラララ”とかではなく、イメージするワードなどは入っているので、曲の世界観は想像できます。ただ、その言葉が最終的に残されるかは、内澤くんが完成させるときに変わってくることもあります。

前田:キーワード的なものはちゃんとあって。ディテイルが変わってくる感じですね。

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――レコーディングはドラムからスタートし、ベース、ギターと進んでいくと思うのですが、トップバッターを務めるドラムの伊藤さんは、大変なのでは?

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ドラムの伊藤彬彦

伊藤彬彦(以下、伊藤):最初の頃は、自分にそんなに技術がないこともあって、単純に“やだな”と思っていました。準備ができないのに(レコーディングに)行って、“おまえの全てを見せてみろ”みたいな、毎回試されているような(笑)。世に出て残るものだから、ちゃんと準備をしたいという気持ちがあったのですが、今は慣れてしまった部分もあります。

普通のバンドだったらプリプロの期間があって、みんなのフレーズを固めるために集まる時間があるらしいんです。周りの人と話していて「来月レコーディングでさ、次の曲こんなに難しいんだ」みたいな話をすることがあるんですけど、「もう(曲が)あんの!?」みたいな。「andropはどんな感じなの?」って聞かれたときに「いや、朝っす」って。

全員:爆笑

伊藤:ただ、なぜか今回は珍しく「Black Coffee」だけ、前日の20:06分くらいにきました。それが素晴らしくて久々に前日にスタジオを予約して、ちょっと仕込みができました。ビートが肝だったから、早く来たのかな。

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「Black Coffee」ジャケット

佐藤:これは早く出さねば、という使命感も(内澤さんに)あったんじゃないですか。

伊藤:いつもより12時間くらい早かったですね。

内澤:(笑)。新曲を2曲作る予定だったんです。2曲同時にはできないじゃないですか。1曲先に出来たのでお送りできたんだと思います。

伊藤:先に出来たのがこっち(「Black Coffee」)でラッキーでしたよね。

内澤:ラッキーって(笑)。

前田:「Black Coffee」と「Toast」が一緒だったんだよね。

――「Black Coffee」はR&Bやヒップホップのようなテイストに色気のある歌唱も印象的ですが、“朝か夜か判らん 孤独と静寂 狭い宇宙に飛び込む”など、懸命に制作をしている内澤さんの姿も何だか浮かび上がってくると言いますか…。この楽曲は7曲中、どの段階でレコーディングしたのですか?

内澤:「Black Coffee」は、5番目、6番目くらいにレコーディングしていましたね。

伊藤:歌詞の段階では、追い込まれていたんだと思います。われわれに展開するアレンジに掛ける時間は割と余裕があったと思います。

佐藤:いや、12時間前だろうが、全然余裕はないですよ。決して余裕があるスケジュールではない。

内澤前田伊藤:いつもよりはあったんだよ(笑)