andropが自身13枚目のアルバム『gravity』をリリース。成長、進化し続ける音楽――「絶対にいい曲がくる、そこに疑いはない」と語る4人の音楽制作とは〈インタビュー前編〉

絶対にいい曲がくると思っています。そこに疑いは今まで一度もないんです

――アルバムを通して内澤さんのボーカルもすごく多彩で、表現力が増しているように感じます。

内澤：いろいろチャレンジはしてみたいなと思っています。声を張ったりとか、めちゃくちゃ抜いたりだとか。一聴してandropだって思われるよりは、「これandropなの?」という聴かれ方をしたいと思っていて。だからサウンド面もそうだし、歌詞も歌い方もいろんなことに挑戦したいなと思っています。最近はサブスクリプションで曲単位で聴かれる世の中になっていると思うんですけど、それで曲と出会ってくれたときに、「誰なんだろう」って思ってほしくて。

１曲1曲も短くしていて、耳を引く音とかワード、曲の構成というものは心掛けています。サブスクでもなるべく、次に飛ばされない仕組みを作るというのはイメージして作っていますね。

――先ほど前田さんがスタジオで譜面を書くとおっしゃっていましたが、朝デモが届いて、皆さん譜面を書かれるのでしょうか？

前田：それぞれじゃないですか？

内澤：楽曲提供とかの時はこれでお願いします、と渡さないといけないんですけど、メンバーなのでいいのかなって段々と…(笑)。基本的には、トラックを耳コピしてもらって…甘えています。

前田：僕は基本書きますけど、共有するわけじゃないです。伊藤くんは伊藤くんで自分で書いているし。

佐藤：僕も書きますけど、譜面と呼べるようなものじゃないです。

伊藤：佐藤くんのが一番かっこいいです。

佐藤：僕にしか読めないコードというか説明書みたいな。でも、それがないと朝届いたばかりの曲が体になじまないので、ちゃんと書きます。ギターを録るのは最後なので、ドラム録りとかをしている間にどんどんイメージを膨らませていきます。

――レコーディングの日は決まっていると思うのですが、デモが来なくても、皆さん準備は万端にしているのですか？

佐藤、前田、伊藤：もちろん。

伊藤：楽器を車に積んでおくとか、ある程度の準備はしています。

佐藤：パソコンの充電をしておく、とか。

全員：爆笑

佐藤：本当そうですよ。データが来て、ダウンロードできるようにしておくというのは、真剣に心掛けている唯一のことです。

前田：あとは、朝６時くらいに起きてデータを確認しますよね。で、来てない。じゃ、もう１回寝るか、とか。大体スタジオには10時入りなので。でも、もう(このスケジュールを)厳しいとも思ってないよね。もはや。

佐藤：(デモが)来たらいいよね。来ないことが一番ダメだもんね。スタジオ予約して、エンジニアさんにも来てもらったのに、過去には(デモが)来ないこともありましたからね。

伊藤：予想だけでチューニングしたこともありましたね。多分、こういう曲がくるんじゃないかって。ちょっと作ってみましょう、ってやっていたら曲が来て（作った音が）「近い！」ってなって「よし！やってみよう！」って(笑)。

内澤：内澤を想定してね(笑）。

佐藤：だから、より瞬発力があるというか、鮮度の高い曲たちが今作は揃っていますよね。

内澤：それもちゃんと具現化してくれるフィジカルというか、プレーができないとやれないことだと思うので、本当にメンバーに支えられていると、すごく感じます。レコーディングもどんどん早くなっていて、１、２テイクで終わらせています。音が決まればスパッと録っちゃう。昔は本当に何100テイクとかやっていたこともあったんです。

前田：朝までやってたね。

内澤：そう、朝まで。血が出るまでやるとか普通にありましたね。ドクターストップがかかるまでやる、とか。それが、１、２テイクで収められるようになっているのがすごいなと思います。曲の理解度も含めてみんなが成長しているなと感じますし、メンバーが演奏することによってandropの音になるという印象も強いので、僕が作ったデモからアレンジをどんどん深めていってほしいと思っています。

前田：とはいえ、内澤くんのアレンジがしっかりしてますから。よく「それがすごい」という話になるんですけど、朝曲がきて、それをレコーディングするじゃないですか。その曲を一度もダメだと思ったことがないんです。疑いがないというか。絶対にいい曲がくる、と思えていることがすごいと思います。