吉川ひなのさんが選んだ1冊は?「幼い頃の私を守ってくれるような、自分の気持ちを代弁してくれた一冊」
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年9月号からの転載になります。
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、吉川ひなのさん。 (取材・文=河村道子 写真=山口宏之)
“ひなのの親は毒親だったの?”。2年前、エッセイ『わたしが幸せになるまで』を上梓したとき、初めて明かした自身の生い立ちに、読者からはそんな声が上がってきたという。 「そのとき初めて毒親という言葉を知りました。嫌な言葉だなと思いつつ、言葉の由来を調べていくと、この本をきっかけに皆が使うようになったことがわかって。けれどページを開いてみると、まるで小さな子どもの頃の自分を守ってくれる温かな空間にいるような心地になれたんです。まるで自分の気持ちを代弁してもらっているような。もっと早くに出合えていたらと思いました」 自分を守る術を知らない幼い頃に、親からされたことで大人になった今も苦しむ人たちがいる。カウンセリングの現場から発想された本書は様々な事例から、そんな人々の傷ついた心に寄り添い…