【京極夏彦特集】寄稿&インタビュー「拝啓、京極夏彦様」/荒井良さん
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年10月号からの転載です。
京極夏彦とはどのような人物なのだろうか。それは京極ワールドを楽しむ私たちにとって、永遠の謎である――! 京極夏彦さんと共に作品を作り上げた方々、またご親交のある作家の皆さまに、京極さんとの思い出や京極作品の魅力について伺いました。今回は荒井良さんです。
まず、作家生活30周年という大変な節目に心から「おめでとうございます」と申し上げたいと思います。 初めてお会いしてからもう四半世紀以上経ちましたが、京極さんは僕にとって最も影響力がある方ですし、それだけの大きな存在が身近にいてくれるのは何よりもありがたいことです。 初対面の場は関東水木会[*]の懇親会の席でした。たしか『魍魎の匣』が出たばかりぐらいだったと記憶しています。その折、僕の妖怪張り子の初作である「古籠火」を見ていただいたところ、ちょうど文庫化の話が出ていた『姑獲鳥の夏』の表紙をやってみませんか、と声をかけていただきました。 思ってもいなかった嬉しいお話でしたが、同時に「古籠火」が仕上がったタイミングを思うと、自…