チェコ・インド・ザンジバル…お国柄を反映する世界の名作怪談たち
『ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ』(飯沢耕太郎/祥伝社)
“怪談”というと、どんなものを思い浮かべるだろうか? 元禄時代に起きた実際の殺人事件に基づいた『四谷怪談』のような古来のものもあれば、15年ほど前に一躍ブームとなった「花子さん」をはじめ、学校にまつわる恐い話を集めた『学校の怪談』のように、都市伝説的なものもある。このように怪談は、いつの時代も人々の暮らしに寄り添うように存在し、江戸時代なら歌舞伎などで、現代なら映画やテレビドラマとして浸透していく。
怪談が人気を集めるのは日本だけの現象ではない。世界の多くの国で、その国ならではの怪談が民衆の人気を集めている。例えば博物学者で妖怪評論家でもある荒俣宏の『ヨーロッパホラー&ファンタジーガイド―魔女と妖精の旅』(講談社)は、中欧に古くから伝わる怪奇物を多数収録した1冊。チェコの首都・プラハで、迫害されゲットーの中に閉じ込められたユダヤ人が身の安全を守るために作り出したといわれている泥の怪物「ゴーレム」の伝説をはじめ、実在した魔女狩りや古代信仰などを、荒俣が現地を訪れたエピソードを交えて紹介し…