人に共通して平等に与えられたのは『伝える術』
ドラマ化・映画化・書籍化を繰り返し、今もなお多くの人の心で命を燃やし続けている木藤亜也さん。 私が「脊髄小脳変性症(セキズイショウノウヘンセイショウ)」という病を知るキッカケとなったのは、亜也さんが魂を込めて残し続けた言葉たちに感銘を受けた、小学6年生の頃でした。
亜也さんは、この病気の進行と共に歩くことが困難となり、次第に手足が自分の思い通りには動かず、食事をすることも、喋ることも、文字を書くことも難しくなっていきました。症状は少しずつ、でも着実に進行をし、1988年に25歳という若さで生涯を閉じた今も、彼女の言葉たちが人々に伝わり示してくれることは多くあります。
今作は亜也さんの綴った詩たちが、時折、写真と実際の文字を交えて書かれています。彼女から放たれる想いの数々は、良くハテナが向けられます。そのどれもに「どうして」「なんで」「教えて」と、訴えかけられているようで、ページを捲る指が途端に進まなくなることもありました。そこに並ぶ一文字一文字が“私はここにいるよ”と、脈を打つように存在しているし、言葉が、想いが、悲鳴が、今も生き続けているのです。
方…