会話は「確認すること」が重要! 相手から「わかっている人」と思われる、ズレとストレスを生まない話し方のコツ

ビジネス

公開日:2023/6/2

キミが信頼されないのは話が「ズレてる」だけなんだ
キミが信頼されないのは話が「ズレてる」だけなんだ』(横山信弘/すばる舎)

 上手な会話というのは難しい。日々のコミュニケーションで「会話の途中で遮られる」「話をしていると、『アレッ?』という顔をされる」など、違和感をおぼえる場面はあるだろう。そんな悩みを抱える人たちに読んでほしいのが『キミが信頼されないのは話が「ズレてる」だけなんだ』(横山信弘/すばる舎)である。

 本書は、会話における聞き方や話し方、質問の仕方など、コミュニケーションで役立つ42の方法を紹介する1冊。トークスキルに不安を抱える人たちにとって、頼もしい味方となってくれる。

抽象的ではなく「4W2H」を意識して具体的に答える

 会話の「ズレ」は、深刻な問題だ。実際、経営コンサルタントの著者・横山信弘氏が200~300人参加のオンラインセミナーで「職場でストレスを感じることは何か?」と聞いたとき、多くの人が「会話のズレ」と回答したそうだ。ストレスが生まれる原因は、話の前提を省略する、あいまいな表現を使うなど、ぼんやりとした表現にある。

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 例えば、上司から職場の掃除を任されたシチュエーションを想像してほしい。「徹底的に片づけます!」と気持ちを伝えたくなる人もいるかもしれないが、この伝え方では、相手が期待する成果を上げられなかった場合に「徹底的に片づけると言ったのに、できてないじゃないか!」と叱責される可能性もあるという。

 そこで役立つのが「4W2H」の意識だ。「4W2H」とは、「いつ(When)」「誰(Who)」「何(What)」「どこ(When)」「どのように(How)」「どれくらい(How many)」の英語の頭文字を取ったものである。

 先述の例で応用するなら「HさんとKさんと3人で、12階フロアの職場にある段ボールの中身をすべて出して、要らないものをM主任に確認して処分します。必要なものは11階フロアの倉庫に持っていきます」と回答するのが一つの例で、意識しておけば、たがいの会話のピントをすり合わせることができるようになる。

質問力を上げるなら「基本知識」の情報収集が必須

 会話での「いい質問」は、相手の信頼をグッと引き寄せるチャンスだ。特に、上司や取引先と向き合う機会の多いビジネスパーソンにとって、きわめて重要なスキルだという。

 質問力を高めるために、欠かせないのが事前の準備だ。例えば、取引先との打ち合わせで「御社が今、最も力を入れている商材は何でしょうか?」とズレた質問をすれば、相手が「ホームページもチェックせずに当社に来たんですか?」とあきれてしまうのは、想像にたやすいはずだ。

 これを回避するためには、事前に基本知識を情報収集しておく必要がある。相手の会社の沿革、歴史、理念、ビジョンなどを調べ、扱っている商品のラインナップや開発ストーリー、特徴や機能といった知識もおさえておく。また、実際に向き合う相手の仕事内容や趣味など、個人に迫る情報もおさえておけば、より強い信頼を獲得できる可能性もある。

 さらに、基本知識は「調べればわかること」と「質問すればわかること」に分けられるという。前者は「WEBサイトやSNSの情報、会社案内やパンフレット」から情報収集して、後者は対面時の質問として残しておく。

 例えば、先述した商品の開発ストーリーの事例として、現場でじかに「御社の主力商品であるAの開発ストーリーを、ぜひ教えてもらえませんか? ホームページを探したんですが、どこにも掲載されていなかったものですから」と聞けば、「ああ、それだったら技術課のTさんが詳しいから、Tさんを紹介するよ」と、繋がりが広がることもある。

 会話の「ズレ」は、たがいのストレスにもなりうる。コミュニケーションの秘けつを教えてくれる本書をたよりに、自身の仕事環境を見直してみよう。

文=カネコシュウヘイ

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