儲け話の副業は失敗する!「起業難民」になる人の特徴とは? 会社員のまま起業を始める方法

ビジネス

2019/8/27

『会社で働きながら6カ月で起業する』(新井一/ダイヤモンド社)

 職場のブラック環境を是正する「働き方改革」がイマイチ機能せず、金融庁の発表が意図せず招いた「老後資金2000万円問題」によって、悲観的な将来をくっきり思い浮かべてしまった人が増えたのではないか。その暗い未来を回避する一手として、自分の人生を自分でコントロールする「起業」を選択する人がいる。

 しかし個人事業主の実態を表す有名な統計結果が2002年の『中小企業白書』にある。なんと個人事業主の廃業率は開業1年目が37.7%、3年目が62.4%。開業10年後には約9割の個人事業主が廃業に追い込まれているというのだ。会社員として働くのは苦しい。しかし一念発起で起業するとさらなる地獄が待っている…。『中小企業白書』が突きつける現実はとても厳しい。

 たとえお金持ちになれなくてもいい。私たちに「心にゆとりのある幸せな働き方」という選択はないのだろうか?

『会社で働きながら6カ月で起業する』(新井一/ダイヤモンド社)は、そんな切実な願いを叶えようとする1冊だ。もう会社や国には頼らない。自分が興した会社で自分の人生を生きていく。著者であり1万人の起業をプロデュースした「起業のプロ」新井一さんが「会社員のまま起業準備を始める方法」を説いている。

■起業難民になってしまう人の特徴

 2018年から一部の大企業で副業が認められるようになり、時代の変化からフリーランスへの注目が高まりつつある昨今。多くの人が自分の力で仕事を手にする「起業」に興味を寄せている。

 だからこそ増えているのが「起業難民」だ。いつまでも起業を目指すだけで“くすぶり続けている人”を指す。会社や国に頼らない決断をしたはずが、なぜ中途半端な難民になってしまうのだろうか。新井さんは、「知」「人」「金」という“3種のチカラ”のバランスが悪いから、と指摘する。

 起業する上で、これから取り組むビジネスの専門知識や経営知識をしっかり学ぶことが最も基本的で重要だ。さらに起業すれば様々な悩みが出てくるので、助けとなる誰かの存在も不可欠。なにより事業を始めるための「投資資金」、事業を展開し続ける「運転資金」、収入が不安定になったときの1年分程度の「生活資金」を貯めておくことも必要。

 これら「知」「人」「金」である“3種のチカラ”は、わざわざ会社を辞めて自ら退路を断たずとも、安全地帯である会社員のまま「起業準備」として進められる行為だ。本書で新井さんはこれを力説する。

 だからこそ! いつまでも“完璧”を目指して知識を収集し続けたり、交流会で起業プランを話すことが楽しくなって「起業準備中」という名刺を配り歩くだけの人になってしまったり、どこかで本格化することに踏ん切りがつかず、起業難民と化してしまう。

この3種のチカラは、どれかが突出していればよいというものではなく、自分のいるステージに応じた大きさ(強さ)と、3つのバランスが大事なのです。

 仕事を起こすからこそ「起業」。ある程度知識を身につけて、知り合いを増やして、お金を用意したら、思い切って行動してみることが「難民」から抜け出す秘訣だ。

■「儲け話」系の副業はうまくいかない

 起業したい人へ、新井さんがもう1つ指摘するのは、「儲け話」系の副業はうまくいかないことだ。仕事を始めた当初は、よほどしっかりとした取引先やお客さんがいないと、かなりの確率で収入が不安定になる。避けては通れない道だ。

 うまくいかないときほどお金が気になって、「不労所得」や「一攫千金」などの「儲け話」に目がいきがちだ。しかし! そのオイシイ話は本当に実態があるのだろうか? たとえ儲けられても、ネットワークビジネスなどに精通した怪しい人と誰が一緒に仕事をしたいと思うだろうか?

 誰かがそれを必要としている、誰かがそれで幸せになるから「仕事」だ。「儲け話」という目先の利益に目がくらむことなく、汗水を垂らして誇りを持てる事業に育てることが、目指すべき個人事業主の姿だ。

■会社員のまま6カ月で起業する具体的な方法

 本書では、このように起業の準備段階で失敗しないアドバイスをいくつか解説したのち、会社員のままわずか6カ月で起業する方法をたっぷりと解説している。

 たとえば「起業したいけど何を売ればいいかアイデアがまったく浮かばない…」という人は、情報バラエティー番組やネットニュースをチェックしてみるといいかもしれない。意外にお手軽な方法だが、これによって効果的に「ウォンツ」を手に入れられるからだ。いったいどういうことだろうか?

 たとえば「売る商品・サービスを作ったけど、効果的に販売する方法に悩む…」という人は、キャッチコピーを考えてみるといい。本書では初心者でも簡単に効果的なキャッチコピーが打てる「3つのひな型」を解説している。

(1)「悩み→望む未来」タイプ
(2)「行動→望む未来」タイプ
(3)「なぜ→望む未来」タイプ

 いったいどんな手法なのだろうか? これらの答えは本書にしっかり記されているので、気になる方はぜひ手に取って目にしてほしい。

 誰の目で見ても日本の将来は本格的に怪しい方向に進みだしている。会社や国に頼らず、自分の力で自分の人生を歩む起業は、悲観的な未来から逃れる手段だ。しかし方法を間違うと、その未来を早めてしまうだけになりかねない。

 本書は「起業のプロ」が、失敗をできるだけ避けて「会社員のまま起業準備を始める方法」をたっぷり説いているので、会社員であることに不安を感じた人は一読する価値があるはずだ。

文=いのうえゆきひろ

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