シンプルだけどしみじみうまい「塩砂糖豚」レシピ。塩、砂糖、香辛料だけで“お店の味”に/豚かたまり肉を買ってみました

暮らし

公開日:2023/4/21

大事なのは口に入れた瞬間のしっとり感

 最初の塩漬け肉を食べきったら、今度は砂糖を入れた塩豚を作ってみましょう。今度は塩分濃度を3%に設定します。先ほどよりも濃いめの味付けで心配になるかもしれませんが、同時に投入する1.5%の砂糖が大きな働きをします。

 肉1000gに対して、塩は30g、砂糖は15g。きっちりと計量したら肉にしっかりとすり込みます。半日ほど漬けたら食べられますが、先ほどの塩豚との味の違いを楽しむのなら2日ほど寝かせてから食べるといいでしょう。

 2日後。塩豚のように軽く塩と砂糖を洗い流してからキッチンペーパーでしっかりと拭き、5mm程度にカットしてフライパンで焼きます。一口食べた瞬間、予想とは違う味わいにびっくりするはずです。前のものより、塩分は濃いはずなのにやさしい味わいで、はっきりと言えば、塩豚よりもおいしいと感じる方が多いようです。私も普通の塩豚よりはこちらの方がおいしいと感じます。

 なぜ先ほどよりもしょっぱく感じないかといえば、甘さには相関性があるからです。甘味と塩味は混在すると、お互いを感じづらくなるからです。たとえば、しょうゆだけ入れたお湯は飲めたものではありませんが、しょうゆと一緒に砂糖を入れるとおいしい煮物になることはみなさんご存じでしょう。砂糖(甘み)と塩(塩み)、そして油。料理のほとんどはこの組み合わせでできています。つまり人間がおいしいと感じる組み合わせですね。ちなみに、塩と同量の砂糖を入れると人間は「甘い」と感じます。

 さて、豚肉に話を戻しましょう。焼いた肉を口に入れた時にやってくるのは、砂糖の甘さと豚肉の甘さ。しっかりと味がついているので、一つの料理として成立しています。何よりこの豚肉をワンランク上の味に引き上げているのが、口に入れた瞬間のしっとり感です。砂糖の保水力が、肉にうるおいとしっとり感を与え、うま味を凝縮させながら同時にしっとりと仕上げる。砂糖と塩のおかげでお店のような味になったのです。

 さて、豚肉の塩漬けに慣れてきたら、香辛料を追加してみましょう。昔は香辛料は保存する食料の臭みを消す目的で使用されましたが、それ以上に、その刺激と香ばしさで人々を魅了しました。ひと言でいえば、香辛料を使った料理はおいしかった。

 人間の味覚において、香りはとても重要な役割を果たしています。人間が、味だと思っているものの9割が実は香りだという説もあります。目をつぶって鼻をつまんで料理を食べると、何を食べているのかわかりません。目と鼻から入ってくる情報に私たちの味覚は左右されています。

 塩漬けにした肉を焼く時に、ホワイトペッパーとブラックペッパーをかけてみましょう。お店の味とはつまり、味の立体感(あるいは素材のよさ)にあると思います。調味料をいくつも使って立体感を演出するのは、それこそ経験が必要ですが、香辛料を2つ重ねるだけでも味わいに変化をつけることができます。塩漬けする際にローズマリーを入れると、一気に欧風料理の味わいになります。そうなると、ごはんよりパン、ビールよりワインがいいですね。

 たった一つの調味料、香辛料で料理の幅は広がるのです。

塩砂糖豚

シンプルだけどしみじみとうまい

おすすめのかたまり バラ/ロース/肩

材料(作りやすい分量)

豚肉──500g
塩──15g(肉の重量の3%)
砂糖──7.5g(肉の重量の1.5%)

作り方

1 塩と砂糖をあらかじめ混ぜてから、豚肉にまんべんなく手ですり込む。

2 ポリ袋に入れて空気を抜き、冷蔵庫で2時間以上おく。

3 表面の塩・砂糖を水で軽く洗い流し、キッチンペーパーなどで水分をしっかりと拭きとって完成。焼いてもゆでても。お好みでどうぞ。

<第2回に続く>

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