バーネット『小公女』あらすじ紹介。貧しくても心はいつでもプリンセス! 天涯孤独&一文無しからの逆転劇

文芸・カルチャー

公開日:2023/8/18

『世界名作劇場 小公女セーラ』としてアニメ版が制作され、一躍有名となった本作。原作である『小公女』と比べると改変点も多々ありました。今回は原作である、バーネット『小公女』のあらすじをご紹介します。懐かしのアニメとの違いを探してみるのも一興ではないでしょうか。

小公女

『小公女』の作品解説

 本作は、アメリカの小説家フランシス・ホジソン・バーネットによって書かれた、19世紀のイギリスを舞台とした児童文学です。邦題『小公女』は『A Little Princess』の訳ですが、これは加筆された再版分からのタイトルでした。現地での舞台化のほか、日本でもアニメ・実写ドラマがいくつか制作されています。

『小公女』の主な登場人物

セーラ・クルー:優しく芯の強い7歳の少女。裕福な家で育ったが、それを鼻にかけない素直な性格。

ラルフ・クルー:セーラの父。資産家で、事業家でもあるハンサム。妻に先立たれている。

ミス・ミンチン:寄宿学校の校長。高慢な守銭奴。

ミス・アメリア:ミンチンの妹。姉に逆らえない気弱な性格。

ベッキー:セーラより5歳年上の、寄宿学校の使用人。

トム・カリスフォード:ラルフの親友で、天涯孤独の独身者。失敗したと思われたダイヤモンド事業を引き継ぐ。

『小公女』のあらすじ​​

 クルー家の娘・セーラは、寄宿舎へ入って勉学に励む慣習のため、イギリス領インドから本国イギリスへ帰国し、ミス・ミンチンのセレクト女子寄宿学校に入学しました。空想好きの素直な性格で人気者になり、不自由なく暮らすセーラでしたが、事件は11歳の誕生日前に起こりました。

 お父さんがインドで亡くなり、ダイヤモンド鉱山の事業が破産したという知らせが、弁護士から届いたのです。金の亡者ミンチン校長は、投資したお金や学費を回収できなくなったので、セーラの誕生日パーティーを中止にしてしまいました。そればかりか彼女の持ち物まで差し押さえ、屋根裏に住んで使用人として働くよう命じたのです。

 突然の貧しい生活と、使用人の仕事の中でも、セーラは優しさと気高さを失いません。仲良くなった使用人仲間のベッキーや、親友たちの支えもあって、意地悪なクラスメートや大人たちの嫌がらせの中でもいつも「プリンセスの心」を持ち続けました。

 そんなある日、窓から迷い込んできた猿を保護したセーラは、届けた先の富豪カリスフォードがずっと自分を探していたと知ります。カリスフォードはお父さんの事業が成功していたこと、遺産を渡そうとしていたことを告げ、彼女の身元引受人になってくれました。

 セーラはカリスフォードの大きな家に引き取られ、使用人時代を共に乗り越えたベッキーと一緒に、幸せに暮らすのでした。

『小公女』の教訓・感想​​

 天涯孤独になり、無一文になったとしても、周りの人への思いやりを忘れず、気高く振る舞い続けたセーラ。また、現実に耐えきれなくなりそうな時には想像力が助けてくれました。他者を思う気持ちと、どんな困難にも負けない強い心が彼女に幸せを届けてくれたのかもしれません。

<第31回に続く>

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